ただし、涙なら何でもいいというわけではない。

「ドライアイを防ぐ基礎分泌の涙やタマネギを切った時に出る角膜保護の涙は、いくら流しても意味がありません。ストレス解消に効果があるのは、悲しいときや感動したときに流す“情動の涙”。これは人間だけが流すことのできる涙であり、神様が与えてくれた宝物のようなものです」

“情動の涙”とは、心が動く涙。そのベースとなるのは、他人に対する“共感”だ。自分の過去の体験などから、相手の思いや境遇に共鳴すると、心の琴線に触れて目頭が熱くなる。

「共感が高まっていくと、脳の前頭前野、ちょうど第三の目と呼ばれるチャクラに近い位置にある“共感脳”の血流が増え、その結果、涙が出るのです」(有田さん)

“歳を経るごとに涙もろくなる”というのは、人生経験が増えることで、他人に対する“共感”も増えるから。つまり、様々な体験をしている人ほど、泣きやすい人ということになるのだろう。

“週末号泣”で1週間のストレスを洗い流そう

また、涙のストレス緩和力は、意外に持続性が高いそう。有田さんも、以前より“週末号泣”を勧めている。

「人物に共感し、涙が出るまでには最低15分はかかります。それだけの感情を蓄積させて泣くのだから、その効果は絶大です。週末に号泣すれば、1週間くらいはストレス緩和が持続しますから、脳科学的にみても“涙活”は、大いにやるべきです。人によって“泣けるツボ”は違いますから、自分好みの泣けるモノを持っておくといいでしょう。ちなみに私は、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニ主演の『ひまわり』という洋画がツボ。映画のテーマ曲を聴いただけで泣いてしまいますね」

涙は自分のために流す

「涙は女の武器」「鬼の目にも涙」などと言われるように、涙には、人の心を強く揺さぶる威力がある。それだけに使い方には注意すべきだと、有田さんは忠告する。

「周りを動かそうとしたり、相手にストレスを与えるような涙はNG。あくまでも自分のために流す涙であるべきです」

他人へのアピールではなく、自分のメンタルをコントロールするために活用するのが、大人の女性の“涙の作法”だ。

ストレスに真っ向勝負を挑むのではなく、うまく逃がす術を身につけることで、自分をラクにして生きやすくする。そんな“涙活”習慣をアナタもつけてみてはいかがだろうか?

(ライター 西尾英子)

[nikkei WOMAN Online 2013年2月18日掲載]