朝ドラのヒロインを経験すると、なぜ女優として大成するのか日経エンタテインメント!

立ちはだかる“3つの壁”

図1 1次や2次の面接は5人1組で行われるため、テレビや映画ですでに有名な女優が同じ組になることもしばしば。「誰に決まってもおかしくない」(遠藤氏)という最終10人の段階になると、いきなり1人に決められず、2人に絞ってから決定ということも。

朝ドラ主演を目指す女優の前に、まず最初に立ちはだかるのは、「オーディションの壁」。

多くのヒロインは、1カ月がかりのオーディションを経て最終的に選ばれる(図1)。2000人前後のなかから書類審査を通った者は、5人1組で審査員やライバルの前で自己紹介するところから1次面接は始まる。何度もチャレンジする面々も少なくないだけに、「今回はこのメンバーね」と一瞥(いちべつ)し合うのが恒例。最終審査に残るのは10人ほど。ここまでくると、「若手のトップランナー」といっていいクラスだ。その10人は台本を手渡され、作品設定に準じて作られたセットに立ち、セリフありのカメラテストを受ける。

「最後まで残る10人は、誰に決まってもおかしくない人ばかり。最終的な決め手は実力というより、今回の企画内容に合う人かどうかです」(遠藤氏)

ヒロインに選ばれた後、演技経験の少ない人は演技の基礎レッスンを受ける。新人起用が続いた時期は、毎回これが通例だった。ほかにも新人・ベテランを問わず、舞台となる地方の方言指導や専門職のワークショップ、着物や時代背景に合わせた所作など、あらゆるトレーニングがある。 その後、晴れて現場入りしたヒロインを待ち受けているのが、「共演者の壁」だ。

ヒロインの座を射止めて天狗(てんぐ)になっている場合ではない。民放ドラマの共演者なら同世代も多く、学校にいるような、あるいは職場の同僚といるような雰囲気の現場も少なくない。しかし、朝ドラは違う。共演者といえば、父・母・おじ・おば・祖父に祖母など、家族が中心。泣く子も黙る日本の名優がずらりと顔をそろえるなか、長時間を同じセット上で過ごすことになるのだ。

しかも、他の家族ドラマや大河ドラマと違って、“座長”となる自分が、現場でいちばんの未熟者という事態も珍しくない。礼儀作法から芝居のイロハまで、先輩方に教わることも、叱られることも、まねることも多々あることだろう。朝ドラで新人女優が鍛えられる最大の要因はここにある。

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