
今から17年前、テレビアニメシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」(テレビ東京系列)が放映された。舞台は2015年の日本。主人公の碇シンジは、人型決戦兵器「エヴァンゲリオン」に搭乗して、正体不明の敵「使徒」と戦う。
謎が謎を呼ぶ展開、斬新な演出法が話題を呼び、ビデオソフトは200万本以上、劇場版2作で興行収入45億円、関連グッズが飛ぶように売れ、従来のアニメ好き以外も夢中になる大ブームとなった。
現在は「新劇場版」シリーズを制作中で、2012年11月17日には待望の3作目、「Q」が公開された。2007年に公開された新劇場版シリーズの1作目「序」は、興収20億円、ブルーレイ・DVDの売り上げは50万枚以上。続く2009年の2作目「破」は興収40億円、300万人を動員、パッケージは100万枚のセールスを記録した。
「破」公開時における、マンガやゲーム、グッズなどの市場規模は推定1500億円超。同作がここまで支持される理由は、どこにあるのだろうか。
斬新な設定と演出で引き付ける
1995年放送のテレビアニメ版が支持された理由の一つは、それまでのアニメには無い斬新さだった。勧善懲悪的な物語とは一線を画し、内向的な主人公、魅力的なキャラクター、「逃げちゃダメだ」などの名セリフの数々…。人体的な動きやカラーリングが特徴の「エヴァンゲリオン」という機体、黒の背景に白文字明朝体がL型に配置される演出などが口コミで伝わり、若者を中心に全国的に人気が拡大した
そして、長年のファンに朗報が訪れたのは2006年だった。10年の沈黙を破り、旧作をベースに“リビルド”する「新劇場版:序」の制作が発表された。
シリーズ第2作の「破」から3年ぶりとなった「Q」は、予告編がニコニコ動画で公開された2012年10月18日、1夜で20万回の再生を突破し期待値の高さをうかがわせた。
この17年という長い期間、「エヴァ」はファンを離さず、テレビ版を知らない20代、アニメに親和性の薄い50代や60代をも巻き込み、規模を拡大し続けている。
2007年公開の「序」で約10年のブランク、2009年の「破」では2年というブランクがありつつも成功を収めた。そんな“終わらない”「エヴァ」はどのようにして可能になっているのか?