小説の場合は、ドラマより映画のオファーが多いですね。気にするのは、文庫化と映画化のタイミング。映画に合わせて文庫を発売すればすごく伸びます。最近は1年半ぐらいで文庫化する例もありますが、作家によっては「単行本としてもっと売りたい」と言う人もいる。映画化のときに文庫にできず、チャンスを逃すことも。

加藤貞顕(かとう・さだあき)   1973年生まれ。ダイヤモンド社書籍編集局所属。主にビジネス書の編集を手がけ、『マイ・ドリーム―バラク・オバマ自伝』『投資信託にだまされるな!』『スタバではグランデを買え!』『陰山手帳』など、ヒット作が多い。

 映画やアニメをいかに本の売れ行きにつなげるかについては、いろいろやりました。アニメだと、声優さんのファンはまだ本を読んでない人も多いことが分かったので、声優さんによる『もしドラ』の書籍朗読会を大手書店で開きました。映画だと、主演のAKB48前田敦子さんのファンをいかに本のほうに誘導するかということを考えています。 

――編集者として、部数や売り上げはどれくらい気にしている?

 文芸の場合は、話題作がある年とない年で売り上げが大きく変わるので、厳密なノルマのようなものはないんですね。自分としては、2~3年のスパンで帳じりを合わせるぐらいの感覚でやっています。

 僕は編集者の仕事を、「作家の頭の中と現実の世界の橋渡しをすること」と定義していているんです。「橋渡し」の一環として、お金のことは無視できないので、売り上げや原稿料はかなり気にします。例えば、『宇宙兄弟』の小山宙哉さんは新人のときからずっと担当をしていて、デビュー直後は、小山さんがアシスタントを雇うための費用をどうやって捻出するかなども考えました。

 書籍の編集者なら誰もが収支の計算を自分でやると思います。イラスト代や帯のコストなど制作の細かい費用も含めて。あとは最近、電子書籍も手がけるなかで、技術者に対してどうお金を払うかという、ビジネスの設計みたいなこともやっています。

電子書籍時代の編集者とは?

――電子書籍への対応など、1人の編集者に求められている役割は増えていますか?

 電子書籍に関しては、昨年くらいから各々の編集者も本格的に考えなきゃいけないと言われています。ビジネスとして成立していくためのアイデア出しも含めて、現場に対して求められている部分はありますね。

 電子書籍の場合、許可を取る範囲も書籍と違っていて、大変なときがあります。例えば書籍は、紀伊國屋書店で売るときとジュンク堂で売るときに個別の許可は必要ないですよね。でも電子書籍だと、書店が増えるごとに作家さんに許可を取る場合もあって。