文芸で一番セールスにつながるのは本屋大賞。本屋大賞は、有志の書店員が賞を一からつくっていく経緯を見ているので、欲しいとずっと思っていました。『天地明察』が受賞したときは、ほかの賞と比べても、やっぱりうれしかったですね。

 ビジネス書の場合、賞はあまりないんですけど、『もしドラ』は賞を2ついただいています。ディスカヴァー・トゥエンティワンが主催する「ビジネス書大賞2011」の大賞と、「書店新風賞」。「新風賞」は一般に知られていませんが、その年に書店の活性化に貢献した本に与えられる賞として歴史が長く、権威がある。1969年にドラッカー『断絶の時代』でも受賞しています。

宣伝に効果的な番組は?

――賞の後押しが期待しにくいビジネス書で、宣伝効果が見込める媒体は?

 影響力が大きいのはやはりテレビですね。特にNHK『クローズアップ現代』やTBSの『王様のブランチ』などは強い。

 小説の場合も『ブランチ』とか『情熱大陸』は効きますね。ただし、番組が作品よりも作家のキャラクターに寄りすぎると、本を読みたいという気持ちにうまくつながらないこともあります。

佐渡島庸平(さどしま・ようへい)  1979年生まれ。講談社『モーニング』編集部所属。『バガボンド』の担当を経て、『ドラゴン桜』を担当。伊坂幸太郎『モダンタイムス』に続き、芥川賞作家・平野啓一郎の小説『空白を満たしなさい』を連載中。

 マンガの場合は、小説やビジネス書と違って、一冊だけでの勝負ではありません。巻数を重ねるなかで、1~2年かけてどうやって読者を増やすかを考えるので、媒体の力を借りない宣伝方法を工夫しますね。

――部数を伸ばすきっかけとして映像化は大きなチャンス?

 『もしドラ』の場合、2009年12月に発売して、その1~2カ月後から映像化の話が来ましたけれど、ビジネス書の担当なので、それまでやったことがなかった。どうしたらいいか分からなかったので、佐渡島さんに相談したんです。

 映画化とドラマ化は、同じ映像化でも、作品への影響は随分違うというような話をしました。長期的な視野で作品を作る映画と、短期的な視聴率を取りに行くドラマでは、合う作品が異なると。『ドラゴン桜』はドラマが向いているし、『宇宙兄弟』は映画のほうがいい。

実は本来僕は、あまり映像化は賛成ではないんです。担当作家には、映像化できないといわれる突出した作品を生み出してほしい。そうしたなかで、『宇宙兄弟』の映像化に熱心なのは、作者の小山宙哉さんにとって週刊連載第1作目だから。デビュー作で作家ファンがたくさん生まれると、2作目以降を、読者の手応えがあるなかで、自由に描けるはず。だから、『宇宙兄弟』は映画化をきっかけに部数を伸ばしたいんです。