「定年前にさっさとリタイアして、余生をのんびりと幸せに過ごせないだろうか」。こんな風にふと思ったとしても、すぐに実行できる人はそう多くありません。ただし、早期退職を想定することは、退職後の生活や家計のあり方を真剣に考えるいいきっかけになるかもしれません。引退後のライフスタイルをイメージして、残された時間から逆算すると、現役時代に何をすべきかを明確にすることができます。幸せな「早退」(早期退職)を実現するためのポイントを検証しましょう。
「日経マネー」がこれまでに取材した「退職父さん」の中には、定年を待たずに「早退」(早期退職)し、リッチに暮らす人が何人もいた。これらの人の家計管理を見て分かったのは、やはり退職後に自分と家族が生活していけるだけの十分な貯蓄をあらかじめ用意できるかどうかがカギになっていることだ。さらに、貯蓄額に加えて退職後も毎月何らかの収入源があると心強い。では一体、いくらの月収があれば「早退」後も生活していけるのか。年齢や貯蓄など、条件ごとに退職後に最低限必要な月収を「日経マネー」は調べた。それが図1の「早期退職サバイバル力」早見表だ。
年齢、貯蓄、退職金から必要な月収を逆算しよう
図1の見方を説明すると、まず縦軸で自分の貯蓄額をチェックする。次に横軸で自分の年齢と退職金(だいたい当てはまるものでOK)を探し、クロスしたところの数字をメモしよう。この数字が、公的年金支給開始(65歳として計算)までに生活するために最低減必要になる毎月の収入額だ。1カ月の生活費は、平成22年の総務省「家計調査」から、高齢者総世帯の毎月の支出を約25万円として試算した。
ただし、65歳以降の生活費はすべて年金でまかなう前提なので、この水準さえクリアできればいいという数字ではない。あくまで「最低限必要な月収」が分かるための早見表だ。ここから少しでも多く積み上げるよう準備したい。
では具体的に見ていこう。「早退」に向けての「サバイバル力」は、「早退」年齢、そのときの貯蓄額、そして会社からもらえる退職金額から逆算できる。