絶品!本場で最高の食材を味わう続・食を愉しむ旅(1)ナショナル ジオグラフィック日本版

食の冒険は、旅に鮮やかな彩りを添えてくれる。訪れた場所に思いをはせるたびに、私の心には、その土地にまつわる忘れがたい体験、食べたものや一緒に食べた人たちのことがよみがえる(キース・ベローズ)――。ナショナル ジオグラフィック誌がセレクトした特別な旅を紹介する「一生に一度だけの旅」。今回は全7回で世界の食を愉(たの)しむ旅をお届けします。

~スペイン ハモン・イベリコ~

スペインの総菜店には、いろいろなハムに交じってイベリコ豚のハムがぶら下がっている。(C) Philip Lange / Shutterstock

世界中でファンが多いイベリコ豚の生ハム、ハモン・イベリコ。なかでも最高級のものはスペインの南西部で作られている。

スペインのバルやレストランには、必ずといっていいほどイベリコ豚のハム(スペイン語で「ハモン」)が天井からぶら下がっている。

ハムはスペインの毎日の食卓に欠かせない。その種類も山ほどある。だが、食通のほとんどが最も高級でおいしいハムとして一番に挙げるのが、ハモン・イベリコという黒豚の生ハムだ。

豊かな赤い肉に半透明の脂肪が霜降り状に入ったハモン・イベリコは、素朴で趣のある味わいが特徴。これは“黒足の豚”といわれるイベリコ豚にベジョータ(どんぐり)を食べさせることで生まれる。スペイン各地で作られているが、最高級とされるのはエストレマドゥーラ地方とアンダルシア地方の豚の後脚を原料としたもの。この地域には、豚の大好物のどんぐりをたくさん落とす樫やコルクなどの森が残っている。

モンタネーラと呼ばれる肥育期間を4カ月ほど過ごした豚は、伝統的な手法にのっとってさばかれ、保存処理をほどこされた後、9~36カ月間熟成される。こうして特徴ある味わいをもつハムができ上がる。

このハムの原点を知るには、エストレマドゥーラのモンタンチェスに行ってみよう。狭い路地に並んでいるチャルクテリア(総菜店)では、絶品のハムを試食できる。タブラという塊から薄く切り分け、地元のピターラワインか冷やしたシェリーと一緒に味わえば最高だ。

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■ベストシーズン  エストレマドゥーラとアンダルシアを訪れるなら、気候が穏やかな春と秋がおすすめ。

旅のヒント  エストレマドゥーラへ行ったら、モンタンチェスのほか、近郊でハムを作っているモネステリオやカレラ・デ・レオン、カベサ・ラ・バカ、セグラ・デ・レオン、そして毎年5月にハム祭りが開かれているヘレス・デ・ロス・カバジェロスにも足をのばしてみたい。購入する時は、その土地で豚を飼育し、加工したことを示す“デエサ・デ・エストレマドゥーラ”の表示を確認すること。時間に余裕があれば、アンダルシアの町ハブーゴもおすすめ。ここのハモン・イベリコが国内最高との呼び声も高い。

【見どころと楽しみ】
<ハムの種類>
スペインでも高級ハムは国産ハム全体のわずか6%で、厳格なDOC(原産地統制呼称)によって管理されている。原料となるイベリコ豚は、餌と肉の品質によって3つの等級に分けられる。ピエンソ(餌は飼料のみ)、レセボ(餌はどんぐりと飼料)、ベジョータ(餌はどんぐりのみ)で、最後のベジョータが最高級だ。
豚の前脚を同様に加工したものはパレタという。厳密にいえばハムではないが、ハムと同様によい風味を味わえる。
ハムを切るときはできるだけ薄く。パサパサにならないよう、食べる直前に切り分けよう。
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