■偏食などでの栄養不足による「更年期」タイプ

栄養不足が原因のもの忘れは、極端なダイエットをしている女性に多い。「食事が偏っている人、なかには摂食障害に陥っている人も。栄養不足になると体だけでなく、脳に必要な栄養素も足りなくなる」と牧野医師。その代表がビタミンB12やB1、葉酸だ。これらはレバーや肉、豆、緑黄色野菜などに多く含まれる。「総合ビタミン剤の投与で良くなるが、基本は何といっても毎日の食事」と牧野医師は強調する。

更年期は女性ホルモンのエストロゲンが急激に減るため、心身に多様な不調が出やすい。もの忘れもその一つ。「女性ホルモン補充療法(HRT)が効くこともある。ほてりなど更年期のつらい症状がほかにもあるなら、婦人科で診てもらって」と牧野医師。更年期はうつにもなりやすい時期。「単なる更年期症状と思っていたら、うつ病だったという人も。もしやと思う人は心療内科などで相談を」(牧野医師)。

■日常生活が原因の「ストレス」タイプ

日常生活でのストレスや疲労が原因のもの忘れは、その生活を見直すことが一番の対策。「ストレスを発散する、一人で悩みを抱えない、よく眠る、しっかり休む、ちゃんと食べる。それだけで頭の働きがよくなって、もの忘れが減ったという人も少なくない」と牧野医師。

また、「こうあるべき」とか、物事を悪い方向に考えたりするなど、ストレスがたまりやすい考え方を改めることも重要だという。

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“先制治療”で認知症への進行をくい止めよう

アルツハイマー型認知症では、脳の中にアミロイドβなどの異常なたんぱく質が多く出現する。この現象は発症の25年ほど前から始まっているという。「発症してからでは遅いと、治療を前倒しする動きが加速している。前段階の軽度認知障害と分かったら早速、治療を始め、認知症への進行をできるだけ防ぐことが重要」と朝田教授。さらに何の自覚症状もないが、画像検査などでは兆候が分かる「プレクリニカル」の段階から治療を始める“先制治療”の動きも。治療の目的は「なる前にくい止める」。後で紹介する対策も有用だ。

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「頭を使いながら運動」が効果的
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