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働き方・学び方
集まれ!ほっとエイジ

2012/9/21

集まれ!ほっとエイジ

会社がなくなってしまっても、その産業がうまくいかなくなっても、ほかでうまく働けるような仕組みを作っていくことが働いている人にとっての安心になります。そのために必要なことが二つあると思っています。

一つはある程度、自由に転職をするという大きな流れを作ること。ごく一部の人が動くのではなくて、ある程度動きのある労働市場の厚みを作っていくことが必要です。

2点目は、転職しようと思った場合には、ある程度の教育を受け、転職時に必要なスキルを身につけることが必要です。産業構造の変化が速いといいましたが、これは個人のスキルに対してもいえることなのです。大学で学んだ知識、経験で一生食べていけるか、あるいは会社で若い時に学んだスキルが40年、50年という期間、通用するかといえば、それは難しい。スキルは陳腐化していくわけです。そうすると新しい環境変化に適応できる能力をやはり40歳くらいで身につけないと、長くは働けないのではないかと思います。

40歳でスキル身につける場、現状ではない

――教育はだれがしてくれるのですか。

柳川 政府も含めて、かなりきっちりやる必要があります。40歳でスキルを身につけられる場所は現状ではあまりありません。そういうものを、政府がある程度、お金を出して整備しましょう、というのが今回の報告書の重要なメッセージです。

その候補となるのが大学です。少子高齢化で地方の国立大学などは学生が来なくて苦しんでいるわけですから、40歳くらいの人たちが学ぶ場として生かせるのではないでしょうか。

――会社で雇われて働くことを前提にお話をされてきましたが、いきなりベンチャー企業を興してもいいのではないでしょうか。こうした教育システムができていれば、ベンチャーで失敗してもやり直しがきくような気がします。

柳川 その通りです。「何歳になってもチャレンジできる社会を作る」ことが重要です。日本がイノベーションを起こしていくためには、いろんな人がいろんな会社を作ってみて、そこからアップルのような会社が出てこないと難しいわけです。20歳くらいでベンチャーをやってみる。あるいは40歳くらいまで普通の会社で働いて、そのスキルでベンチャーを立ち上げてもいい。60歳でも70歳でも、会社を作るだけの意欲と能力を持っている人はたくさんいると思います。

知識や経験の伝授、シニアの活躍の場に

――年代によって持っているものが違うと思います。それぞれの年代で教え合うことはできそうですね。

柳川 まさに検討会でもその議論はありました。定年まで働いてきた人がその知識と経験を若い人に教えれば、年配の方も活躍の場ができますし、下の世代も学べるものがたくさんあると思います。

――だれもがチャレンジをしたいわけではなく、仕事は最低限にして家庭や趣味を大事にしたいという人も多いと思います。そういう人たちからみると一部の人が盛り上がって勝手なことを進めるんじゃないと危惧しないでしょうか。

柳川 現実問題として、多くの企業は終身雇用に近い形を維持すると思います。それが日本企業の強みであるし、僕はそれを否定する気はありません。

「うちの会社は、どんな制度になろうと65歳まで働いてもらいます」と訴えていい人材を集める会社は多いと思います。そういう気持ちで会社を運営するのが日本の強みでもあります。我々が提言しているのは多様な選択肢を与えようという制度であり、そういう会社がなくなるわけではありませんし、そういう会社が長期雇用できなくする仕組みでもありません。

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