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働き方・学び方
集まれ!ほっとエイジ

2012/9/21

集まれ!ほっとエイジ

――そのためにも女性や高齢者が社会に積極的に参画できる環境整備が必要なのでしょうね。これからは、60歳を過ぎてもある程度は働かざるを得ないのでしょうが、60歳になって、まだ働けるのに不本意ながら引退を迫られるというのが「60歳定年制」だと思います。でも単純に定年年齢を65歳、70歳と上げていっていいのだろかという議論があります。

定年延長はヤル気ある若者にとって不幸

柳川 寿命が延びていて、すごく元気でヤル気のある高齢の方々が増えている。高齢者のヤル気と熱意を生かせる社会のシステムにしないともったいないですね。ただ、考えなければいけないのは、単純に定年を延ばして、いまの会社で働き続けるということがいい働き方なのかということです。生き甲斐、働き甲斐というのは別のところにあるのではないかと思っている人も、生活のためとか、ほかのところに働き場所がないからという理由で、いまのところに居続けている可能性もある。そこにもっと自由度を与えたいのです。

一方、定年延長で中高年の方々が、いまの会社に居続けると、しわ寄せが若い人たちにいきます。定年が延びることで、企業は、正社員をそんなに長く雇って大丈夫だろうかと考えるようにもなっています。どうしても抑制的に雇用することになり、非正規雇用が増えてしまう。それはヤル気にある若者にとってかなり不幸なことだと思います。

――そこで『40歳定年制』の考え方が出てくるわけですね。ただ、この言葉が広まったときに「有無を言わさず40歳になったら、会社から放りだされる。企業が社員を解雇することが自由になる第一歩ではないか」と疑心暗鬼になる人が多かったようです。

柳川 多少は反論があるかなと意識していましたが、みなさんが持つ定年に対する意識は、予想以上に強いのだなと思いました。

産業の浮き沈みのスピードが加速

40歳定年制のポイントは、正規社員の基本契約をいったん40歳にしてみたらどうですか、ということです。そこで切る必要はなく、もっと長い30年契約、40年契約でもいいですし、もう少し短い契約でもいい。いろいろな期間なり働き方の契約を多様に認めることにしましょうという考え方です。現状ですと、非正規の短い雇用の繰り返しと、正社員で60歳まで働くのと、この2種類しかないので、そこをもっと多様な形の雇用契約で、多様な働き方ができるようにしたいということで40歳定年制を提言しました。

――40歳定年制を考えなければいけなくなった背景は何ですか。

柳川 かつての一流企業といわれるところも、業績が悪化するリスクを抱えています。これは世界的に競争が激化しているのと、本質的には産業構造が変化するスピードが速くなっていることが原因です。2050年という将来に向かって、このスピードはどんどん速くなるでしょう。昔、いい産業であれば40年くらいもちました。しかし、サイクルがだんだん短くなってきて、特にIT産業が世の中の変化のスピードを速めていて、どんどん浮き沈みのスピードが速くなっている。大幅なリストラとか倒産ということがかなりの確率で起きる社会になっていかざるを得ないでしょう。大企業に正社員として就職できれば、一生安泰という時代ではなくなりました。

政府としては、厳しい環境下でも、ある程度安心が与えられるシステムを構築しなければならない。一つのやり方としては、失業した人を手厚く保護して、20年くらい高い失業保険を払い続けられれば、確かに安心はできるんですけれど、そんな保障は続けられません。

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