被災地、石巻市雄勝地区で廃校再生 子どもとともに築90年超の小学校校舎

東日本大震災で被災した宮城県石巻市雄勝(おがつ)地区で、築90年を超える廃校を再生するプロジェクトが進んでいる。12年前、平成の大合併で廃校になった旧桑浜小学校だ。建物は東京駅の屋根でも使用されている雄勝石のスレート(瓦)でできた由緒正しいもの。小学校を再生させる取り組みを現地で訪ねた。
旧桑浜小学校

拠点「雄勝アカデミー」発足

石巻市雄勝地区は人口4300人ほど、ホタテやカキ、ワカメの養殖が中心の漁業の町だ。三陸海岸沿いの町は津波で壊滅的な被害を受け、人口は1000人にまで減少した。以前から過疎化、少子化が進んでいたが、被災により加速。特に教育の問題から、子どもを持つ世帯の多くが雄勝を離れた。地域に3つある小学校のうち、船越小学校と雄勝小学校は校舎が全壊、2校は統合して新生雄勝小学校となった。

風景が変わってしまった雄勝で、新たな学びやを作ろうと奮闘しているのが、公益社団法人sweet treat 311だ。元商社マンの代表理事、立花貴さん(45)と、理事の油井元太郎さん(38)は震災後、炊き出しなど食糧や衣類の提供を行っていた。その町の一つとして雄勝に出合う。

油井さんは子どもが仕事を学ぶ施設「キッザニア」の創業メンバーの一人。つてを頼り、地元の塾講師や市外の人にも声をかけ、被災した子どもたちを対象にアフタースクールとして学校の授業の補習を始めた。大手広告代理店電通でコミュニケーションプランナーとして働きながら、児童教育を研究する北本英光さん(43)も理事として合流した。

立花さんらは雄勝に根を下ろし、拠点となる「雄勝アカデミー」を設置。活動範囲は加速度的に広がった。子どもたちを対象に地元の水産業従事者とホタテの養殖業を体験してもらうプログラムを設けたり、企業や行政の「社会的責任(CSR)研修」向けに雄勝アカデミーを開放したりして、ボランティア活動に訪れる人々も一緒に食事を楽しめる拠点になった。