ドイツ 生真面目な描写の一方で、ユニークな個性も

ルネサンスの波は、アルプスを越え、ドイツやネーデルランド地方にも及んだ。ドイツを代表する画家がデューラー。緻密に計算された細かな描写が特徴だ。そんなデューラーの緻密さは銅版画の制作にも生かされ、ドイツ美術の発展に大きな役割を担った。

「その一方で、ドイツではクラナッハ(父)のような個性的な画家も出てきます。彼は初めイタリア的な女性の裸体像を描きましたが、次第にアイドルのような、未熟だが官能的な女性像という新境地を開きました」(石鍋さん)。

アルブレヒト・デューラー(1471~1528)
イタリアを2度旅行し、ルネサンスの技法を持ち帰る。だが絵画の仕事に恵まれず、版画を手がけるようになる。

ネーデルランド 風景画や風俗画など、新ジャンルが台頭

ベルギー、オランダ、ルクセンブルクなどを含むネーデルランド地方では、ブリューゲル(父)が活躍。イタリアの絵画に学びながらも、子どもの遊びや農民の労働、自然の風景など、新しいテーマに取り組んだ。

イタリアへ赴く道中で見たアルプスの景色をテーマにしたといわれる『雪中の狩人』を見ると、ルネサンスを脱した次の時代の到来を感じさせる。

ピーテル・ブリューゲル(父) Pieter Bruegel (1525頃~1569)
初期はヒエロムニス・ボスの影響を受け、宗教画・寓話画を多く描くが、徐々に風俗画が中心になる。

この人に聞きました

石鍋真澄さん
成城大学教授。1949年生まれ。東北大学大学院修士課程修了後、フィレンツェ大学へ留学。ジョットからティエポロまで、イタリア・ルネサンス及びバロック美術を幅広く研究。著書に『ピエロ・デッラ・フランチェスカ』(平凡社)など。

(ライター 川岸徹)

[日経おとなのOFF2012年11月号の記事を基に再構成]

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