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おでかけナビ

2012/7/19

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新宿駅や池袋駅のような「平行型」と渋谷駅のような「交差型」では、駅の空間把握の仕方が異なってくる。空間把握とは、物が三次元空間に占めている状態や関係を把握すること。駅の乗り換えで具体的に言うならば、降りたプラットホームから乗り換え目的のプラットホームへ行くルートを思い浮かべられるか、ということに関わる。

新宿駅では、プラットホームが平行に並んでおり視覚的に見渡すことができる。例えば、山手線から中央線に乗り換えたいとき、中央線のオレンジ色の車両が止まっているのを見て、地下の連絡通路を通ってそのプラットホームへ移動すればよい。ところが交差型の渋谷駅はそれがかなり難しい。立体的に積まれたプラットホームなので目的の路線が見えない。階段のような垂直動線に頼るしかなくなり、その階段が果たしてどことつながっているかは、サインを見ない限り分からない。

そこで、空間把握が容易にできない渋谷駅では、結局サインにいかに頼るかが迷わないためのコツである。実際サインに身を任せると、渋谷駅ではスムーズに移動できるのが分かる。広告と紛れてサインを見分けにくい箇所もあるが、サインをたどれば一応は迷わずに目的地に到達できるサインシステムを、渋谷駅は持っている。

サインという記号を追っての空間移動は、記号によってできたある種のバーチャルスペースを移動しているのと同じと考えられる。空間把握をしない渋谷駅構内での移動は、えてしてバーチャルな空間体験の性格を持っている。

しかし、人は通勤などの際に迷路性を楽しむことはない。ゲームの中で、次から次に猛獣が出てきてラスボス(最後に出てくる敵)を求めながらダンジョンの中をさまようのとは違う。あくまでも駅であるから、渋谷駅の複雑な空間の中でいつの間にかカスタマイズされた最短ルートを、日々無意識に移動しているだけである。複雑な中の一部分だけを利用しているのだ。いくつかの試行錯誤をして合理的に最短移動ルートとして選択したのであろう。通勤する個人にとっては1ルートだけがリアルな道としてある。

そこで渋谷駅の中に、そうした最短移動ルートがどのように存在するのかを一つひとつ拾い上げてみた。

9階層分の上下移動を意識しているのか

渋谷駅の乗り換えルートを考えてみたい。渋谷駅には、9路線が乗り入れている。この9路線から他路線への乗り換えについては、単純計算すれば9×8=72通りある。ただし、実際のところ相互直通運転がある場合はプラットホームを共有するので、銀座線、埼京線・湘南新宿ライン、山手線、田園都市線・半蔵門線、東横線、副都心線、井の頭線の7つのプラットホーム間での乗り換えとなり、計7×6=42通りとなる。

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