家族で共有できる? 大人のためのタブレット(上)
【Q1】新製品ラッシュですが、買い時はいつ?
――新製品は続々登場しますが、そろそろ性能は十分になってきました。最近の製品なら今が買い時でしょう。
今後もタブレットの新製品は続々と登場してくるはずだ。この2~3年の製品の進化には目を見張るものがあった。特に処理性能の進化は目覚ましい。1~2年前の製品では最新ゲームアプリの動作が重く感じることもあるが、この夏の新モデルならほぼ快適に使える。今購入したタブレットなら、2~3年は十分に満足して使えるはずだ。
性能は順当にアップしているものの、その割合は少しずつになってきている。進化の速度がゆっくりになったと考えてよいだろう。
また、液晶の高解像度化もトレンドだが、解像度の高い製品はまだ価格が安いとはいえない。例えばアップルの「iPad」レティーナディスプレイ搭載モデルは2048×1536ドットという緻密さを誇るが、入門用としては解像度が高くない3万円程度の製品でも十分だ。
手書き文字入力やお絵描きにチャレンジしたい人も、対応製品が登場し始めている。特に「デジタイザー」と呼ぶ方式のペンに対応したモデルを買うと、紙にボールペンで文字を書くときのような滑らかさで快適に手書きができる。ただし、まだ選択肢が多いとはいえないので、すでにタブレットを持っている人の買い替えは、少し様子を見てもよいだろう。
【Q2】タブレットはどれも大差ないものですか。
――外観はどれもとてもよく似ていますが大きな違いがあるので気を付けましょう。
正面から見るとほとんど画面しかないタブレットは、どれも同じように見える。しかし、iPadとAndroid(アンドロイド)タブレットはまったく違う製品なので、違いを把握して購入したい。
また、1万円台前半で売られているような製品には、それなりの理由がある。古すぎる製品を買うと後悔するので、型落ちでも一年以内に発売されたモデルがオススメだ。発売時期を店員に聞いてみよう。また、聞いたことのないメーカーの激安タブレットも見送りが無難だ。
【Q3】スマホとタブレット、どう使い分ける?
――手に入れてみると明確になります。落ち着いて作業をするときには、意識せずにタブレットを手にしているはずです。
移動中にメールを見たり、ちょっと天気予報などを調べたりする程度の使い方なら、スマホでも十分。ところが、自宅や会社で落ち着いて作業できるときには、タブレットの方が数段使いやすく感じるはずだ。
すでにタブレットを買った先輩ユーザーに聞いてみると「これほど使いやすいとは思わなかった」という人が大半。中でも中高年のiPadユーザーからは、「iPhoneより見やすく使いやすい」という声を多く聞く。
【Q4】誕生日などのギフトに向いていますか。
――手ごろなギフトとしておすすめのアイテムです。
いま注目度が高いタブレットは、ギフトにしても喜ばれることは間違いない。仮に、相手がすでに所有していたとしても、家族が使えるはずだ。また、当人が2台目に使うこともあるだろう。
相手が若年層ならゲーム機として喜ばれるし、学習にも役立つ。高齢者からも「スマホは画面が小さすぎて無理だけどタブレットは試してみたい」という声をよく聞く。年配の人向けのタブレット講習会も開催されているほど関心を持たれているのだ。
プレゼントするなら、携帯電話会社との回線契約が不要なWi-Fi(無線LAN)モデルを選ぶとよい。ちょっと奮発できるなら、「iPad」や「iPad mini」がオススメだが、予算が限られるなら「ネクサス7」も喜ばれるはずだ。
パソコンをプレゼントするには多額の予算が必要になる。また、デジカメはデザインやサイズなどの好みも大きく分かれるだろう。ところが、タブレットはデジカメと変わらない予算で、誰もが喜んでくれる、大人からの贈り物にぴったりのアイテムなのだ。
【Q5】調子が悪いと思ったら?
――とりあえず再起動してみるのが最初の対策です。完全な故障なら修理に出します。
タブレットも機械なので、故障する可能性がないとはいえない。アプリが立ち上がるまでに普段よりも時間がかかりすぎるなど、調子が悪いと思ったら、まずは再起動してみよう。
アンドロイドタブレットは、電源ボタンを長押しすると再起動できる。iPadは一度電源を切って再度入れ直すとよい。ソフトの不調はこのように再起動で直ることがある。つまり、ときどき再起動するのが快適に使い続けるコツでもある。
電源が入らないなど、完全に壊れたならば、メーカーの窓口に連絡して修理してもらうことになるので、保証書や購入時のレシートを保管しておこう。
【Q6】人にあげるときは何に気をつける?
――使わなくなったタブレットをプレゼントするなら、初期化を忘れないように。
使わなくなったタブレットを家族や友人にプレゼントしても喜ばれるはず。そんなときには、必ず買った状態に戻す「初期化」をしておきたい。タブレットに保存されている個人情報やインストールしたアプリなどを消すことができる。また、受け取った側も、購入した最初の状態から使えるので、余分なアプリに惑わされることなく、基本操作が分かりやすいはずだ。
アンドロイドタブレットでは、「設定」→「バックアップとリセット」→「データの初期化」で購入したままの状態に戻せる。
これに対してiPadでは、「設定」→「一般」→「リセット」→「すべてのコンテンツと設定を消去」を実行すれば、初期化できる。
【Q7】野良アプリ、神アプリって何?
――ベテランユーザーが口にする独特の用語ですが、知っておくと便利です。
スマホやタブレットの情報をインターネットで調べていると、「野良アプリ」「神アプリ」といった言葉に出くわすことがある。これらの言葉は、先進的なユーザーが作った独特な用語なのだが、最近はさまざまなアプリ紹介サイトでも使われることがあり、普通の用語に近づいている。
「野良アプリ」とは、アンドロイド向けのアプリで、グーグルが運営するコンテンツ提供サイト「グーグルプレイ」を通さないでインストールできるものを指している。飼い主の分からない野良犬のように、少々怪しく出所が定かでないアプリという意味だ。詐欺的なものもあるので、野良アプリのインストールは原則として避けた方がよい。
「神アプリ」は、神様が作ったような素晴らしいアプリ、とでも考えればよいだろう。最近はさまざまな評価で「神」を付ける若者が多いが、同じ意味だ。
また、アプリが素晴らしいアップデートを遂げると「神アプデ」と呼ぶこともある。このあたりの用語を少し覚えておくと、ネットの情報を読み取りやすくなる。
【Q8】ノートパソコンの代わりになる?
――作業の内容によって答えは変わってきます。メールやSNS(交流サイト)なら十分代わりになります。
iPadやアンドロイドタブレットとノートパソコンの違いはOS(基本ソフト)で、使えるアプリも異なっている。例えばメールの送受信やSNSでメッセージを送る程度の用途なら、アプリが違ってもできることは変わらないので、タブレットがノートパソコンの代わりになるといえる。
ところが、マイクロソフトオフィスで書類を作るような作業は、やはりパソコンやWindowsタブレットでなければ無理がある。もちろん簡単な作業に限定するなら代わりになるはずだ。
【Q9】飛行機の中でも使えますか
――機内モードをうまく利用すれば可能。機内のアナウンスに従ってください。
多くの航空会社が、離着陸時を除いた飛行中に、電波を出さない電子機器の利用を許可している。電波を出さないように「機内モード」に切り替えれば、タブレットも同様に利用可能です。
最近では機内で無線LANサービスが使える国際線も出てきているので、それぞれの航空会社のアナウンスに従ったうえで活用してほしい。
iPadでは、「設定」メニューの一番上で簡単に機内モードへと切り替え可能だ。離着陸時は電源を切るなど適切に使いたい。
【Q10】家族で同じ機種を買うべき?
――特に同じ機種を買わなくても大丈夫ですが、OSはそろえた方がよいでしょう。
家族でタブレットを購入する場合には、同じものを買った方が分かりやすいことは間違いない。設定や操作が不明なら教えてもらえるし、故障かどうかの判断もしやすいだろう。さらに言うなら、キーボードなどの周辺機器を使い回すことも可能だ。
とはいえ、それぞれに好みがあるなら、まったく同じ製品を買う必要はない。ただし、できるならばOSはそろえておいた方が何かと便利だ。例えば、iPadとiPad miniとか、ネクサス7とXperia(エクスペリア)タブレットといった形で、iOS(iPadやiPhoneのOS)かアンドロイドで統一するのだ。
こうしておくと、写真ファイルをやりとりしたり、対戦型のゲームが楽しんだりしやすい。もちろん、スマホのOSともそろえるのが理想だ。
iPadでそろえておけば、アップルTVを購入することで、画面をテレビに表示して写真や動画を楽しんだり、iPadをコントローラーにするゲームもプレーしたりできる。パソコンなどとの接続でもケーブルが使い回せて便利だ。
【Q11】家族で1台を使い分けたいのですが。
――アンドロイドタブレットなら、複数の利用者で使い分けが可能です。
タブレットを購入したら、メールを送受信したり、SNSを利用したりする人が多いだろう。使い込むほどに、プライベートな情報や、仲が良い人にも知られたくないコミュニケーションが満載になっていく。
例え家族間といえども、日記を見ないのが礼儀であるように、タブレットの情報をすべてオープンにして使うのは好ましくない。子供に使わせる際はアプリも分けたいところだ。
iPadは、残念ながら1人1台の利用が前提となっている。ちょっと人に貸したとしても、簡単にメールやSNSを見られてしまうだろう。
アンドロイドタブレットの最近のモデル(OSのバージョンが4.2以降)なら、マルチアカウントに対応している。マルチアカウントとは、1台のタブレットに複数のユーザーを登録しておき、使い分ける機能だ。
タブレットをスリープから復帰する段階で、ユーザーを選んでログインすればよい。パスワードを設定しておけば、例え家族といえども、他の人のデータが見られないわけだ。
アカウントの設定を終えたら、それぞれに「設定」→「セキュリティ」→「画面のロック」で起動する際のパスワードや認証パターンを登録しておくこと。
(後編に続く)
[ムック『大人のためのタブレット』の記事を基に再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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