子供のアレルギー、米ではベジタリアン食材で解決米国NPの診察日記 緒方さやか

米国の医療機関などで働きながら、出産・育児を経験した著者が、仕事・出産・子育て・文化の違いなど、さまざまな切り口で、米国社会とそこで働く女性の現状を紹介。読めばリアルな米国が見えてきます。さて、今回は子どものアレルギーを取り上げます。

授乳時の苦労を乗り越え、完全母乳での育児が軌道に乗りかけた生後3カ月頃、息子の顔に赤い湿疹が出始めた(写真1)。

写真1 アレルギーが出始めた頃

私はリンゴや梨などに対して軽いアレルギーがあり、いわゆる「アトピー持ち」だ。夫はマカデミアナッツアレルギーと、花粉症がある。私の甥に至るや、子どものころは大豆、乳製品、小麦、卵、さらには胡麻も食べられなかったという。つまりわが家は由緒正しきアレルギー家系。息子がこうなることは覚悟しておくべきだった。

日本から訪ねてきた妹は、息子の顔を一目見るなり「これは母乳を介したアレルギーでしょ。とりあえず牛乳と卵をやめてみたら」と言った。アドバイスに従って数日間やめてみると、息子の湿疹は確かに良くなった。しかし、アメリカの食生活に慣れてしまっている私にとって、乳製品と卵を完全に断つのは非常に苦しい。誘惑に勝てない私は、ネットで「ヤギの乳ならアレルギーの出ることが少ない」という情報を見付け、牛乳に替えてヤギの乳製品を食べることにした。驚くことに、近所のスーパーにはヤギ乳製品(チーズ、バター、ヨーグルトまでも)が豊富に揃っていたのである。

症状はどんどん悪化

対策を講じたにもかかわらず、息子の症状は、私が職場に復帰した生後4カ月頃に一気に悪化した。私は、仕事が忙しくて外食が増えたせいかもしれないと考えた。アメリカはアバウトなお国柄で、レストランで「卵と牛乳は食べられないのですが、このお料理は大丈夫?」と聞くと、「大丈夫!」と軽く請け合われ、かえって不安に思うことも多かったからだ。

かまぼこ、食パン、カレーなど、意外な食物にも卵や乳製品が含まれていることがあるのに、当時の私はそこまで気が付いていなかった。アメリカは、スーパーで売っている個々の商品にはアレルギー表示があるものの、パン屋やレストランなどではそのような情報は表示されていないのだ。

息子は、ひどい日は顔を掻きむしって血が出ることもあるほどで、母乳を飲んでは吐き、泣き続けた。私は原因となる食物を探るため、自分が口にしたものを逐一記録したが、特定できなかった。もしかして甥のように大豆や胡麻のアレルギーなのかもしれないと、胡麻油もしょうゆも諦めたが、効果はなかった。

小児アレルギー専門医の元で皮膚パッチテストを受けた結果は、牛乳と卵だけが陽性。医師は私の食物日記を見て、「牛乳や卵をちゃんと避けているのに、良くならないなんて変ですねえ」としか言ってくれなかった。かかりつけの小児科医も、ステロイドの軟膏を処方するだけだ。

それなら母乳の割合を減らすしかないと、アレルギー児用ミルクを与えてみたが、息子はきっぱり拒否した。母乳でさえ哺乳瓶からではほとんど飲まないという子なので、アレルギー反応が出ないように半分消化してあるミルクなんて問題外だったに違いない。ちなみにこのミルクは、まさに吐き戻した胃液の味である!

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牛乳がダメならヤギ乳もダメだった