働き方・学び方

定年世代 奮闘記

「家の墓」より「自分の墓」を選びたい 定年男子の終活見聞録

2012/10/27

 墓地めぐりを重ねるうちに、立派な墓を建てても末永く継承できるとは限らない、という懸念が頭をかすめるようになった。息子は遠方で暮らし、娘は他家に嫁いだという家庭は、我が家も含めて少なくないだろう。その先の孫の世代になると、さらに不透明だ。墓守がいなくなった無縁墓が増えているという話もよく聞く。

■石とコンクリの墓より、やわらかい土の中で眠りたい

毎年、桜の季節には合同慰霊祭が開かれる(2010年4月、東京都町田市)

 いっそ、家代々の墓というより、継承不要で、納得できる自分個人の墓を選んだ方がいいかもしれない。それなら、石とコンクリートに囲まれた狭くて高価な墓より、やわらかい土の中で眠りたいものだ。最近は墓石の代わりに木を植える樹木葬が注目されているらしい。

 そんなことを考えながら、秋晴れの日曜日、桜の木を墓標にする桜葬墓地(東京都町田市)の見学会に出かけた。

 特定非営利活動法人(NPO法人)エンディングセンターが運営する墓地は、見晴らしの良い郊外の丘陵地にある。定刻前だったが、既に定員いっぱいの約50人が詰めかけていた。60歳代の人が多い。「毎月見学会を開いているが、最近は申し込みが定員を上回るようになった」と担当者が話す。

■継承不要の桜葬墓地人気、時代の要請か

花壇を墓標にした墓地もある(東京都町田市)

 実は3年ほど前、現役の記者としてこの桜葬を取材したことがあった。当時は、千区画程度だったが、その後造成を繰り返し、今では2千区画以上に増えていた。それも満杯に近くなり、さらに増設を検討しているそうだ。

 センター理事長の井上治代・東洋大教授は「我々の予想を超える支持と反響を得ている」と話す。3年前をはるかに上回る見学会の盛況ぶりを目にして、「時代の要請なのだろう」とあらためて実感した。

 墓地を見て回った。桜の木の周辺に遺骨を埋葬する芝生地が広がる。仕切りも柵もないが、細かく個人別の区画に分かれ、銘板に各人の埋葬場所が刻まれている。標準的な1人用区画が40万円。維持管理費、継承者も不要で、年月をかけて土に還っていく。

【関連キーワード】

井上治代

働き方・学び方

ALL CHANNEL