昼間は元気、なのに夜は落ち込む「非定型うつ」日経ヘルス

最近よく耳にするようになった「非定型うつ」。女性に多く、発症年齢が20~30代と若いのが特徴。1日の中に気分の浮き沈みがあり、炭水化物や甘いものが食べたくなることが多い。

うれしいこと、嫌なことで気分が乱高下

定型うつ(典型的なうつ)の症状といえば、「眠れない」「食欲がない」「何をしても楽しくない」「朝は調子が悪く夕方にかけて少し良くなる」。

しかし、最近はこのような典型に当てはまらない「非定型うつ」が増えていると見る専門家もいる。他人からの批判や小言に大きく動揺して落ち込むが、楽しいことがあれば気分が良くなるというように、1日のうちで気持ちが大きく浮き沈みするのが特徴だ。

女性の患者数は男性の2~3倍、発症年齢は20~30代と若い。「非定型うつは、冬うつと同様に多眠・多食になりやすい。炭水化物や甘いものに対する渇望の症状が出ることが多い」(国際医療福祉大学三田病院精神科の平島奈津子教授)。

長時間眠っても疲れがとれず、朝起きられないため、「今日も何もできなかった」と、夕方ごろから自己嫌悪になり、不安、落ち込みが強くなってくる。しかし、自分が好きなことは楽しめるため、周囲の人には「ただのナマケ病だ」と、なかなか理解してもらえない。「非定型うつの人は、自分がうまくいかないのは周りが悪い、と思ってしまう傾向がある。会社に対する不満も『今の職場では正当に評価されない』といった葛藤を抱えている人が多い」とパークサイド日比谷クリニックの立川秀樹院長は言う。

考え方の癖や生活リズムの乱れなど、何らかの「なりやすさ」を持っている人が、ストレスをきっかけに発症するケースが多い。他人の評価を気にして、不安な人はなりやすいといわれている。また、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の機能低下も関与していると考えられている。

医師でも非定型うつと混同する 「適応障害」ってどんな病気?
 「落ち込んでいても、好きなことだけできる」ように見えることから混同されやすい非定型うつと適応障害。しかしこの二つの病気はまったく違うもの。適応障害とは大切な人との死別や会社、学校など、新しい環境やストレスにうまく適応できないこと。環境に慣れるか離れれば元気になる。「普通は6カ月ぐらいで環境に慣れて回復する。長引く場合は、うつの可能性が高い」(立川院長)。
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