「足底腱膜炎」に新治療 体外衝撃波で痛みを取る

船橋整形外科病院の高橋謙二氏は、「ESWTは整形外科領域において一定の意義を持ち得る治療法だ」と語る

ESWTは治療回数の規定がないが、高橋氏は、「1回治療をしたら1カ月空けて次の治療を行い、3回治療を行っている」と話す。

治療に携わる医師たちは、ESWTの副作用はほとんどないと評価する。「治療後に一時的に痛みが増強することもあるが、その痛みが永続することはない」と牧氏は話す。ただし、機器は高額で、ある病院関係者によると数千万円の費用が掛かるという。

機序は疼痛伝導の抑制と組織修復か

足底腱膜炎に対するESWTは、ESWLのように結石を破砕するわけではない。では、なぜESWTが除痛効果を示すのだろうか。詳細な機序はまだ明らかになっていないが、(1)痛みの神経終末を変性させるとともに疼痛伝達物質を減少させて中枢への疼痛伝導を抑制する、(2)血管新生を促進し組織を修復させる──の2つのメカニズムが考えられている。

治療効果は、数日で表れるケースもあれば、1カ月ほど掛かるケースもある。「組織修復には時間が掛かる。それが治療効果発現までの時間に影響し、個人差も大きいのではないか」と牧氏は考察する。実際にMRI画像からは、ESWT後に組織が修復された様子が読み取れるケースもある(写真2)。

写真2 症例:ESWTが著効した足底腱膜炎、66歳女性(牧氏による)
朝の歩き始めに右踵痛が誘因なく生じた。近医の整形外科や整骨院に通うも症状が持続し、半年後に当院を受診。当院にて足底腱膜炎と診断し、ストレッチの指導やインソール型装具を用いた保存的治療を行ったが痛みが改善しないため、体外衝撃波治療を実施。治療から1カ月後に痛みは半減し、その後も徐々に症状が軽減して6カ月後に痛みがなくなったため、治療を終了した。MRI画像では、治療前は足底腱膜内と踵骨内に高信号(白矢印)の異常所見を認めたが、治療から6カ月後には消失(赤矢印)した

欧米では20年ほど前から整形外科領域でESWTが行われ、足底腱膜炎以外の疾患にも広く実施されている。表1は、国際衝撃波治療学会が挙げたESWTの適応疾患だ。

表1 国際衝撃波治療学会によるESWTの主な適応疾患

木村氏は、「アキレス腱炎や膝蓋腱炎(ジャンパー膝)、上腕骨外上顆炎(テニス肘)の痛みにも、ESWTが有効とのエビデンスが集積している」と話す。自由診療でこれらの疾患にもESWTを実施しており、高い除痛効果を得ているともいう。

アキレス腱炎や膝蓋腱炎、上腕骨外上顆炎も、保存治療が有効でなければ手術療法しか治療の選択肢はない。今後ESWTの保険適応の広がりが期待される。

(日経メディカル 土田絢子)

[日経メディカル Online 2014年6月17日掲載記事を基に再構成]

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