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「足底腱膜炎」に新治療 体外衝撃波で痛みを取る

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日経メディカル
腱・靱帯付着部など、整形外科での治療分野の痛みに、「体外衝撃波」を利用した治療が普及してきた。2012年からは、足のアーチを支えるかかとの腱組織が変性や炎症を起こす「足底腱膜炎」に対して、体外衝撃波治療(ESWT)が保険適用となった。これまで手術しか選択肢がなかった患者の痛みが大幅に軽減するといった効果を上げている。

かかとが痛い、肘が痛い、膝が痛む──。こうした整形外科領域における腱・靱帯付着部の痛みに、尿路結石の治療でおなじみの体外衝撃波を利用した治療が普及してきている。

保存治療で軽快しない足底腱膜炎に対して、体外衝撃波治療(extracorporeal shock wave therapy:ESWT)が保険適用となったのは2012年。低侵襲で患者の負担が少なく、除痛効果や安全性が高いことから、手術療法の前に行う治療法として徐々に普及し、現在約30施設がESWTを実施している。

足底腱膜炎は、足のアーチを支えるかかとの腱組織が変性や炎症を起こし、痛みを生じる疾患。足に過大な負担が掛かる(1)陸上やサッカーなどのスポーツ選手、(2)スポーツをしていなくとも立ち仕事に従事しているなどの中高年者──が主な罹患患者だ。悪化すると痛みのために走行や歩行に支障が生じる。

足底腱膜炎は患者数が多く、人口の約10%が罹患すると推測されている。かかとのストレッチや消炎鎮痛薬、靴用のインソール(中敷き)の使用、ヒアルロン酸やステロイドの局所注射といった保存的治療で多くは治るが、1割の患者は難治で痛みが残ってしまう。

患部に衝撃波を当て痛みを取る

これまで、そうした難治の足底腱膜炎では、足底腱膜の一部を切除する手術療法しか治療の選択肢がなかった。しかし、手術療法は侵襲性が高く、傷痕が残る、術後スポーツ復帰までに時間が掛かるなどの課題があった。

そこに新たな治療の選択肢として登場したのがESWTだ。ESWT用の医療機器としては、2008年に薬事承認を受けた「ドルニエ エイポス ウルトラ」(独ドルニエメドテックシステムズ製)が唯一。6カ月以上の保存療法で効果が見られない難治性の足底腱膜炎に対する除痛が適応となる。同装置では、超音波エコーを当てて焦点を確認しながら患部に衝撃波を照射する(写真1)。

京都府立医大整形外科講師(洛和会丸太町病院非常勤)の牧昌弘氏は、「患部に衝撃波を当てると患者は痛みを感じるが徐々に慣れるので、治療に麻酔は使わない」と話す。患者の反応を見つつ、低出力から始めて徐々に出力を上げて治療を行う。1回の治療で照射する総エネルギー量は1300mJ/mm2(ミリジュール/平方ミリメートル)で、治療時間は30分程度だ(写真1右)。

なお、体外衝撃波治療というと尿路結石の破砕治療(extracorporeal shock wave lithotripter:ESWL)が有名だが、ドルニエ エイポス ウルトラは、ESWL用の機械に比べて衝撃波の焦点深度が約半分、最大圧力も約半分程度となっている。

手術しか選択肢がなかった患者の痛みが大幅に軽減

ESWLの治療効果に早くから注目してきた施設の一つが、善衆会病院(群馬県前橋市)だ。同院は、日本にまだESWT用の機器がほとんど導入されていなかった2007年から、機器を購入して自由診療でESWTを実施してきた。

院長の木村雅史氏は、「ESWTは足、膝、肘の腱・靱帯付着部炎を軽減する効果が高い。8~9割の患者で除痛効果が得られている」と手応えを語る。スポーツ選手では7割程度の患者がESWT治療後、早期に競技へ復帰しているという。

2008年からESWTを手掛けている船橋整形外科病院(千葉県船橋市)スポーツ医学センターの高橋謙二氏も、治療効果を評価する。「足底腱膜炎患者の7~8割で、痛みが大幅に減った」と話す。

図1は、同氏が2009~2012年にESWTを実施した足底腱膜炎患者(踵骨付着部に圧痛を有する)のうち、治療開始後3カ月以上経過観察できた43例48足の治療効果だ。

治療前の痛みレベルを10とすると、ESWTから3カ月後には、77.1%の患者で痛みレベルが0~5まで下がり、良好な治療成績が得られた。痛みレベルが半分以上低下した患者の割合は、最終診察時(平均6.6カ月後)には83.3%まで上昇した。なお、高橋氏が解析した患者は全例3カ月以上の保存治療に抵抗した難治例で、治療前にMRI画像検査で腱膜の肥厚病変が確認されていた。

ESWTは治療回数の規定がないが、高橋氏は、「1回治療をしたら1カ月空けて次の治療を行い、3回治療を行っている」と話す。

治療に携わる医師たちは、ESWTの副作用はほとんどないと評価する。「治療後に一時的に痛みが増強することもあるが、その痛みが永続することはない」と牧氏は話す。ただし、機器は高額で、ある病院関係者によると数千万円の費用が掛かるという。

機序は疼痛伝導の抑制と組織修復か

足底腱膜炎に対するESWTは、ESWLのように結石を破砕するわけではない。では、なぜESWTが除痛効果を示すのだろうか。詳細な機序はまだ明らかになっていないが、(1)痛みの神経終末を変性させるとともに疼痛伝達物質を減少させて中枢への疼痛伝導を抑制する、(2)血管新生を促進し組織を修復させる──の2つのメカニズムが考えられている。

治療効果は、数日で表れるケースもあれば、1カ月ほど掛かるケースもある。「組織修復には時間が掛かる。それが治療効果発現までの時間に影響し、個人差も大きいのではないか」と牧氏は考察する。実際にMRI画像からは、ESWT後に組織が修復された様子が読み取れるケースもある(写真2)。

朝の歩き始めに右踵痛が誘因なく生じた。近医の整形外科や整骨院に通うも症状が持続し、半年後に当院を受診。当院にて足底腱膜炎と診断し、ストレッチの指導やインソール型装具を用いた保存的治療を行ったが痛みが改善しないため、体外衝撃波治療を実施。治療から1カ月後に痛みは半減し、その後も徐々に症状が軽減して6カ月後に痛みがなくなったため、治療を終了した。MRI画像では、治療前は足底腱膜内と踵骨内に高信号(白矢印)の異常所見を認めたが、治療から6カ月後には消失(赤矢印)した

欧米では20年ほど前から整形外科領域でESWTが行われ、足底腱膜炎以外の疾患にも広く実施されている。表1は、国際衝撃波治療学会が挙げたESWTの適応疾患だ。

木村氏は、「アキレス腱炎や膝蓋腱炎(ジャンパー膝)、上腕骨外上顆炎(テニス肘)の痛みにも、ESWTが有効とのエビデンスが集積している」と話す。自由診療でこれらの疾患にもESWTを実施しており、高い除痛効果を得ているともいう。

アキレス腱炎や膝蓋腱炎、上腕骨外上顆炎も、保存治療が有効でなければ手術療法しか治療の選択肢はない。今後ESWTの保険適応の広がりが期待される。

(日経メディカル 土田絢子)

[日経メディカル Online 2014年6月17日掲載記事を基に再構成]

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