カラフル野菜、キノコ…、しわやたるみを防ぐ食材&食べ方
日経ヘルス プルミエ
紫外線、喫煙、激しい運動などで発生し、老化たんぱく質(AGEs)を増やす要因となるのが、活性酸素です。なかでも酸化力が強いのが、ヒドロキシラジカル。運動やストレスなどで発生し、一度発生すると体内の酵素では消えにくく、老化や疲労の原因にもなります。
肌との関係が深いのは、一重項酸素。紫外線によって発生し、シワやたるみなどの一因とされています。
■抗酸化、抗糖化成分リッチな食材で老化たんぱく質を体内から減らす
野菜の持つ、活性酸素を打ち消す抗酸化力を分析するデザイナーフーズ社長の丹羽真清さんは、「色の濃い野菜や香りの強い野菜を食べると、ヒドロキシラジカルや一重項酸素の発生を抑えられることが、研究のなかから分かってきました」と話します。
実際に、丹羽さんらが秋冬野菜を中心にヒドロキシラジカルと一重項酸素を消去する力を比較し、作成したランキングでは、ニンニクやゴボウ、小松菜のほか、赤パプリカなどが上位に入っていました(右グラフ)。
ほかにも、鶏胸肉などに多く含まれるアミノ酸のカルノシン、大豆に含まれるサポニン、さらにビタミンB6が豊富なゴマ、そして食物繊維が豊富ななアーモンドもAGEsの増加を抑えることが分かっています。
また、竹内さんは、「粘り成分を含むモズクなどの海藻類や、食物繊維の多いキノコ類は、AGEsを吸着して除去する働きがあるので、意識してとって」とすすめます。
抗酸化成分や食物繊維が豊富なこれらの食材を選ぶことで、たんぱく質の老化を抑えられて、より高いシミ・シワ予防効果が期待できます。
~抗酸化・抗糖化に役立つ食材選び&食べ方のコツ~
【野菜・果物】 カラフルな色を組み合わせ、色の濃いものを
赤パプリカや緑色の小松菜、紫色のナスなど色の濃いカラフル野菜は、ポリフェノールなどの抗酸化成分を豊富に含んでいる。抗酸化力・食物繊維の含有量もバラつきがあるので、組み合わせて選んでみよう。アボカドやリンゴも優秀な食材。
【乳製品】 低脂肪乳を選ぶ血糖値の調整に一役
ヨーグルトなど乳製品を食事の最初にとると血糖値が上がりにくい。特に40代、50代以上は、毎日の乳脂肪摂取によって中性脂肪が高くなりがちなので低脂肪タイプがおすすめ。たんぱく質リッチな上澄み液のホエーは残さずに。
【キノコ】 食物繊維の宝庫。メタボ対策の主力食材
マイタケには血糖値の上昇を抑制する作用が、エリンギは内臓脂肪の低減などメタボ予防効果があることがヒト試験で確認済み。食物繊維に富み、便通の改善のほか、コレステロール低下作用、免疫力アップ効果が期待できる。
【豆・ナッツ類】 アーモンドや大豆、ゴマ、花茶豆もおすすめ
豆類やアーモンドなどのナッツ類は食物繊維が多く、お通じ対策にもいい。また、大豆に含まれるサポニンには、AGEsの蓄積を抑える作用がある。豆腐1丁で有効量がとれる。ビタミンB6の多いゴマも◎。
【肉・魚】 鶏胸肉、マグロなどの大形魚、鮭を選ぶ
鶏の胸肉や、マグロなどの大形回遊魚の筋肉に含まれるアミノ酸のアンセリンやカルノシンは、AGEsの生成を妨害して、分解・排出を促すと考えられている。また、鮭には一重項酸素の消去力が高いアスタキサンチンが豊富に含まれている。
【イモ類】 粘り成分を生かす。サツマイモは皮ごと
ナガイモの粘り成分が血糖値の上昇を抑制する。ご飯など炭水化物との組み合わせがおすすめ。サツマイモはポリフェノールを多く含む皮ごと食べよう。ジャガイモは冷めた状態なら血糖値が上がりにくい。
竹内正義さん
金沢医科大学総合医学研究所先端医療研究領域糖化制御研究分野教授。北陸大学大学院薬学研究科修士課程修了。富山医科薬科大学で薬学博士号取得。北陸大学薬学部教授を経て現職。生体内で生成し、病気の原因となるAGEs(TAGE)研究の第一人者。
金本郁男さん
城西大学薬学部教授薬品安全性学講座。富山医科薬科大学大学院修了後、同大学付属病院などを経て現職。専門は医療薬学。メタボリックシンドロームの予防を目的とした低GI食の最適な摂取方法などを研究。「小腹がすいたときは花茶豆、朝食前には低脂肪乳がおすすめ」
丹羽真清さん
デザイナーフーズ社長。椙山女学園大学家政学部卒業。菅理栄養士。食品メーカーの商品開発などに従事。1999年に野菜や果物の機能性などを研究、コンサルティングを行うデザイナーフーズを設立。「外食産業でもベジ・ファーストの流れが広がりつつあ
ります」
(ライター 松岡真理)
[日経ヘルス プルミエ2011年秋号の記事を基に再構成]
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