5月20日からは、『EUREKA』や『サッド ヴァケイション』などの映画監督で、ファンのみならず、俳優、クリエイターの支持も高い、青山真治監督作、ドラマ『最上のプロポーズ』の配信も両サービスで始まった(詳細は最後の別掲記事)。
村本氏によると、現在、同社の映像をスマホで見ている層の過半数が女性で、サービス開始当初から、スマホの映像市場は女性が牽引すると予想していたという。そこで、これまでもドラマ『40女と90日間で結婚する方法』(主演・市原隼人)や、『Sweet Room』(成宮寛貴・向井理・要潤・豊原功輔)など、女性向けの恋愛ドラマの拡充に努めてきた。
こうしたドラマには、地上波テレビのゴールデンタイムの番組に負けないクオリティーが不可欠と考えており、今回の『最上のプロポーズ』では、1億円の製作予算をかけたという。
また、「グッドシェアシステム」と呼ぶ、ロイヤリティーの配分方式も用意。「BeeTV」で製作・配信したオリジナル作品の製作者、監督、メーンキャストなどには、ギャラとは別に、ABCの売り上げの11%を上限として配分する。
次世代の基盤を構築
「映像の世界では目新しい仕組みかもしれませんが、音楽の世界では印税分配が常識なので、当たり前です。成功した喜びはみんなで分かち合いたいですし、そうでないと、もっと良いものを作ろうというモチベーションが上がらないと思うんです」と村上氏は語る。
さらに、「以前は6000億円あった音楽市場が、今は半分になっています。パッケージ市場が縮小していくのが見える中で、エイベックスとしては“総合エンタテインメント企業”として、ユーザーとの新たな接点を持つ、次の時代のプラットフォームの構築が急務でした。もともとエイベックスは、音楽のみならず、映像事業本部が映画『頭文字D』や『レッドクリフ』を製作した経験もありますし、今後も、ドラマ、お笑い、バラエティなど、魅力的なオリジナル映像を作って、勝負していきます」(村本氏)という。
この5年間の配信事業で、独自のノウハウがかなりたまってきたという同社。「たまたま当たっているのではなく、かなり戦略的に物事を進めている」(同氏)。この夏以降も新企画が続くという。