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50代になったら、5つ新しいことに挑戦を 「坂の上の坂」著者 藤原和博氏

2012/7/27

サラリーマンが60歳で定年を迎えても、それから20年、30年という長い時間が残されている。藤原和博氏は「坂の上にあるのは、『坂の上の雲』の時代のような、ぼんやりとした『雲』ではなく、次の新たなる『坂』なのではないか」と近著『坂の上の坂~55歳までにやっておきたい55のこと』(ポプラ社)で指摘。40代、50代での意識改革を提唱する。

■坂の上にもっと豊かな峰を作る

――藤原さんは昨年末に『坂の上の坂』を出版されました。なぜ『坂の上の坂』という言葉を選んだのですか。

ふじはら・かずひろ 1955年東京生まれ。1978年東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。1996年同社フェローとなる。2003年より5年間、東京都内で義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。2008~11年、橋下大阪府知事(当時)の特別顧問。東京学芸大学客員教授

藤原 司馬遼太郎さんの小説『坂の上の雲』は日露戦争を描いていますが、その当時は「40代で一仕事したら後は余生」という感覚でした。こうした人生を富士山型の一山ととらえる感覚だと、幸福になれない時代になりました。当時より40年から50年寿命が延びたからです。「八ヶ岳型、連峰型の人生を送りましょう」、「坂の上にもっと豊かな峰を作りましょう」という意味で「坂の上の坂」と名付けたわけです。

――藤原さんは40歳でリクルートを退社されましたね。

藤原 37歳のときにヨーロッパに家族を連れて行ったことがきっかけで、会社をやめようと思いました。ずっと会社にいて、役員を目指す人生もありますが、そんなことをしていたら自分のテーマが見つからないのではないのかと思い、「社長になるより格好いい働き方はないのか」ということをヨーロッパに探しにいったのです。

成熟社会の先進国、イギリスとフランスで暮らしてみて、成熟社会がどうなるのかがかなり見えてきたので、教育、住宅、介護・医療、「組織の壁を超えた個人と個人のネットワーク」の4つのテーマで40代、50代を過ごそうと決めて帰ってきました。

――40代で転職というのは勇気がいるでしょうね。

藤原 会社をやめることがものすごいリスクだというイメージが僕にはありませんでした。むしろサラリーマンを続けたほうがリスクがある。サラリーマンは上に行けばいくほど、「上司と合わなくなったらアウト」という、大きなリスクにさらされます。

男性の場合、昇進するときがまずいときなんです。偉くなると会社では会議、部下のマネジメント、社内接待も含めた「接待」が増える。

接待、査定、会議の頭文字をとってSSKと僕は呼んでいるのですが、部長くらいになると、会社にいる時間の9割くらいがSSKになる。そうすると自分のテーマが追えなくなります。

■「企業内自営業者」を目指せ

――多くの人はなかなか藤原さんのような決断はできないのではないでしょうか。

藤原 組織の中にとどまってもいいと思います。ただ、組織の中にとどまりながら自営業者のような意識をもつ『企業内自営業者』を実践すればいいと思います。

――藤原さんはかつて杉並区立和田中学校で民間校長を務められ、〔よのなか〕科という、学校の知識と実際の世の中との懸け橋になる授業を実践されました。いまのサラリーマンの多くは中学生以上に業界外の世界、「よのなか」がわからなくなっているのではないでしょうか。

藤原 〔よのなか〕科の授業は、子どもたちに大人やゲストティーチャーといった「他者」と向き合わせました。正解が一つじゃない課題に対してどうアプローチするかを探っていく。

日本のビジネスマンは内向きになってしまっていますが、他者とどういうコミュニケーションをするか、自分が納得し、他者も納得させることができる「納得解」をいかに紡ぎだしていくのかという技術が大事なんです。

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