果糖ぶどう糖液糖は、砂糖と同じものではない
やはり通常のコーラやスポーツ飲料を選ぼう、と思っただろうか。ここでもう一つ問題がある。
清涼飲料水に含まれる「果糖ぶどう糖液糖」や「ぶとう糖果糖液糖」は、異性化糖(高フルクトース・コーンシロップ)。もともと日本で開発されて1970年代にアメリカに渡り、その食生活を大幅に変えた。トウモロコシなどのでんぷんを酵素処理して作るため安上がりで、清涼飲料水のほかパンやしょうゆ、加工食品などに幅広く使われている。天然甘味料に分類されるが、「天然」の2文字をうのみにしてはいけない。
「プリンストン大学の動物実験で、グラニュー糖を摂取したマウスより、同量の異性化糖を摂取したマウスのほうが、顕著な体重増加が認められました。異性化糖には多量の“果糖”が含まれていますが、これはブドウ糖と代謝経路が異なり、取っても満腹感が得られないのです。天然の果物と違い、清涼飲料水では一気に多量の果糖を摂取してしまうのが問題です」(大西さん)
肥満、糖尿病の原因になるという理由で、アメリカでは、異性化糖の使用禁止活動が広がっている。ミッシェル・オバマ大統領夫人も2010年に、ファストフードなどの栄養価の低い食品と一緒に、異性化糖を使った飲み物を、学校から排除するよう呼びかけた。
「日本は、ほかの国より砂糖の摂取量が少ない割に、異性化糖の摂取量が多い。しかも、全く問題視されていません。まず控えるべきなのは、炭酸飲料などの飲み物。購入時にラベルを確認する習慣をつけて、原料がシンプルなものを選ぶべきです」(大西さん)

この人に聞きました
大西睦子さん
医師。東京女子医科大学卒業。国立がんセンターなどでの臨床研究を経て、2007年ボストンのダナ・ファーバーがん研究所に留学。ハーバード大学にて食事や遺伝子と病気に関する基礎研究を進める。著書『カロリーゼロにだまされるな』(ダイヤモンド社)が話題。
医師。東京女子医科大学卒業。国立がんセンターなどでの臨床研究を経て、2007年ボストンのダナ・ファーバーがん研究所に留学。ハーバード大学にて食事や遺伝子と病気に関する基礎研究を進める。著書『カロリーゼロにだまされるな』(ダイヤモンド社)が話題。
(ライター 茅島奈緒深)
[日経おとなのOFF特別編集『医者いらずの食べ方』の記事を基に再構成]
[参考]日経おとなのOFF特別編集「医者いらずの食べ方」(2014年4月17日発売)では、医師の近藤誠さんや鎌田實さん、白澤卓二さんなど、“医者いらず賢者”たちが自ら実践している食習慣を披露。そのほか脳ではなく、腸をいたわることで生き生きと暮らせる食事に対する考え方をはじめ、これまで常識とされていた食と健康にまつわる情報の意外な真実や、おいしく食べて、なおかつ健康になるレシピなどを紹介する。