海外に広がるJ-POP、ブームは定着するか日経エンタテインメント!

2010年4月、日本音楽団体協議会がMySpaceに立ち上げた英語サイト「SYNC MUSIC Japan」はその一例。加盟社所属アーティストのCDリリースや海外公演情報などを英訳し、このサイトや各国のニュースサイトを通じて配信している。

Ustream中継の案内もしており、2010年8月、LUNA SEAが活動再開会見の模様を香港から全世界配信した際には、同時視聴者数が1万2000人を記録。今年の元日にラルク アン シエルが千葉・幕張メッセのライブを中継したときには、31カ国からアクセスがあったという。

日本の音楽市場は、2010年まで12年連続のマイナス成長。これを打開するためマーケットを海外に広げるには、「チームジャパン」としての知恵と団結力が、問われているようだ。

PS COMPANYの海外展開、ビジュアル系にオファーが殺到
J-POPのジャンルの中で、海外からの注目度が特に高いと言われているのが「ビジュアル系」だ。実際、NHK国際放送の音楽番組『J-MELO』で、世界中から寄せられたアーティスト別のリクエストランキングでも、多くのビジュアル系バンドが上位に入っている。
そのリクエストランキングで1位に輝いたのがthe GazettE。ほかにもAlice Nineなどの人気バンドを多数抱える音楽事務所がPS COMPANYだ。同社は海外進出について、どう考えているのだろうか。
同社の制作部部長、隅田和男氏によると、ビジュアル系バンドへのライブオファーは世界中からあり、特に人気の高いエリアは、台湾や中国といったアジア圏と、フランスやドイツといったヨーロッパ諸国。さらに、最近はブラジルやメキシコなどの中南米、ロシアなどからの依頼も増えたという。

■日本での空白期間も課題に
しかし、実はthe GazettEは、2007年のヨーロッパツアーを最後に、海外でのライブを行なっていない。これには2つの背景がある、と隅田氏は明かす。
1つ目の理由は、採算性の問題だ。「海外のファンが求めるビジュアル系のショーを見せるには、持ち込み機材や専属の衣装、メイクなどは欠かせない。パンクバンドやボーカルグループと比べてスタッフの数が多くなるので、条件が折り合わないのに持ち出しをしてまで行くことはないと考えている」(隅田氏)と言う。
2つ目は、日本での活動との兼ね合い。海外ツアーの期間が長くなればなるほど、当然、日本でのリリースやツアーの空白は長くなる。だが、最近は音源発表のサイクルがますます短くなっているため、海外での人気獲得と引き換えに、肝心の日本のファンを失ってしまったアーティストの例もある。「世界を回って思うのは、日本で人気のものこそ見たいという意識が強いということ。日本でのリスクを抱えて海外へ行くのではなく、タイミングを待ちたいと考えている」(隅田氏)。
このため、海外ツアーには少人数スタッフで身軽に動ける新人クラスのほうが挑戦しやすい、と隅田氏は言う。例えば、SuGは2010年10月に台湾での初ワンマン公演を成功させた。2011年1月にメジャーデビューしたばかりのViViDも、フランスのJAPAN EXPOやタイの音楽フェスなど精力的に出演している。

(日経エンタテインメント! 山本伸夫、ライター 内瀬戸久司)

[日経エンタテインメント!2011年4月号の記事を基に再構成]

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