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ユーザー1億人突破の「LINE」責任者 舛田淳氏

ヒットメーカー 2012~13(3)

日経エンタテインメント!

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NIKKEI STYLE

 「ヒットメーカー・オブ・ザ・イヤー 2012~13」(「日経エンタテインメント!」編集部主催)の受賞者を紹介するこの連載。3回目は、同賞の中でも、革新的なアイデアでヒットを創出したビジネスパーソンに与えられる「パイオニア賞」に輝いたNHN Japanの舛田淳氏を紹介する。舛田氏は、SNSアプリ「LINE」を爆発的ヒットに導いた事業責任者で、NHN Japanの執行役員。LINEは2011年6月のスタートから、わずか19カ月で1億ユーザーを突破している。その秘密はどこにあったのかを舛田氏に聞いた。

様々なソーシャルサービスが乱立する中で、スマートフォンとの相性の良さもあり、2012年に爆発的なスピードでユーザーを獲得した「LINE」。メッセンジャーツールとしてスタートし、無料通話、スタンプ、ソーシャルゲームなど機能を次々と拡張。タレント公式サービスや有料LINEスタンプも好調で、2011年6月のスタートから、わずか19カ月で全世界1億ユーザーを突破した。これはツイッターやフェイスブックをしのぐ早さだ。

 そんなLINEに立ち上げ時から携わり、現在、事業責任者を務めるのが執行役員の舛田淳氏。大学時代からコンテンツプランナーとしてテレビ・ラジオ・イベントなどに加え、インターネット黎明(れいめい)期にネットサービスのプランニングや運営などを経験。その後、ネット業界を離れた時期もあったが、外資系の検索サービスの立ち上げなどを経て、NHN Japanの森川亮社長に誘われて当時のNAVER Japanに入社した。現在はNAVER、livedoor、LINEの戦略とマーケティングの責任者として活躍している。

――舛田さんは、会社内ではどのような役割を担っているのですか?

舛田 社内のエンジニアや企画者、デザイナーが出してきたアイデアを、消費者や市場に近い視点から、どのようにサービスや機能を組み合わせると価値あるものとしてユーザーへ届けられるかを考えています。いわばストーリーテリングのような仕事です。

もともと、技術畑出身ではなく、事業開発やコンセプトメイキング、コミュニケーションプランニングを得意にしていて、社内的には軍師的な存在と言われています。プログラミングをすることとデザインをすること以外はすべて自分の対応領域ですので、万屋(よろずや)とも言われていますが(笑)。インターネット業界では私のようなプランナーやプロデューサー的な立場の人間は珍しいかもしれません。

――LINEはどのような発想から生まれたサービスですか?

舛田開発当時、日常生活の人間関係とインターネット上にあるサービスを結び付けてマッピングしたらどうなるかを、女性3人からなるチームで分析していたんです。すると、「知らない者同士がいかに出会えるか」を実現させるものがこれまでは主流であることが分かり、その代表としてフェイスブックやツイッターが世界を席巻していました。

でも、「オープン」で「パブリック」を志向するサービスがここまで広がると、必ず逆の「クローズド」で「プライベート」なサービスが求められると思っていました。

よく「フェイスブックとLINEはコインの裏表」と言っているのですが、オープンでパブリックなものが増えれば増えるほど、内緒話や知っている者同士だけでコミュニケーションできればいいという人が出てくる。それをスマートフォン上でかなえるサービスが、必ずトレンドとして現れてくるはず――それがLINEを考えた背景にあります。

命名については、コーポレートカラーの緑色にちなんだ「グリーントーク」や「ネイバートーク」など社内で様々な候補があったなかで、「LINE」が挙がってきたとき、ほぼ全員のスタッフが「これだ」と。我々が新しいサービスでやりたかったのは、単純なSNSやメッセンジャーではなく、人と人をつなげるホットラインであり、その先にはサービスプラットホームにしたいという思いもありましたから。

こだわったのは、親しい人とつながる仕組みと、面と向かって話をしているような体験です。最初は、無料電話もスタンプもついてないシンプルなアプリとして出しましたが、それはスマホをベースに実際に話しているような速度感があるテキストコミュニケーションがLINEの本質だからです。

――フェイスブックやアップルなど、IT業界やインターネット業界で大成功した企業は、特定の優秀な人材がサービスを生み出している印象があります。NHN Japanはどうでしょうか?

舛田 NHN Japanは、一人の偉大なる天才やカリスマが創造的な製品やサービスを生み出しているわけではありません。普通の人間が集まって、どうやったらいいものが生まれるかを泥臭く考えて実行していく会社です。

新しいサービスも最初から作り込むのではなく、シンプルな形で市場に出して、SNSやブログなどの間接的なものを含め、ネット上のユーザーの声を徹底的に分析し、それを基に進化・発展させていきます。私たちは未来を予測できる天才ではないので、常に市場の声や流れを意識し、それをエンジンにして進んでいます。

――LINEのこれまでの軌跡を振り返って、ターニングポイントはありましたか?

舛田 LINEはすぐに成功したと思われていますが、最初の2カ月ぐらいは非常に厳しかった。NHN Japanは、関連サービスをすべて集めると、国内第4位ぐらいのトラフィックがあって、何千万人分のID情報を管理しています。でもLINEはその資産をまったく活用せず、完全に別プロジェクトとして動かし、独立性を優先させました。ソーシャル上で拡散する仕組みにもしていないし、本当の口コミしか広がる方法がありませんでした。

――NAVER、livedoorなどのユーザーを取り込まずに、独立性を保った理由は?

舛田 LINEにとって大切だったのは知っている人同士をつなぐこと。家族や友人や同僚といったリアルなつながりを重視したので、スマートフォンのアドレス帳同士をマッチングするという手法を取って、あえてネット上のバーチャルな関係を排除したんです。

それは、すごくこだわったポイントですが、インターネットの専門家や社内の他のメンバーからは、今までのWebサービスのマーケティングの定石やビジネスの教科書とは違った手法なので、「いったい何をしているんだ」と言われました(笑)。

いま振り返ると、その選択がよかったと思っています。企画やプランを練っているといろいろな欲が出てきますし、不安になるので、保険をかけたくなる。でも、コンセプトを最後までブレさせなかったことが、LINEが成功する上で非常に大きかったと考えています。

――その後、国内外で火がついて一気にブレイクしました。

舛田 2011年夏頃、アラビア語でサポートを求めるユーザーの声がメールで届くようになったんです。そうしたら、あっという間に中東諸国のAppStoreのランキングが急上昇し、全く予想しない形でのヒットになりました。

LINEは世界的なサービスにしていくことを目指していましたが、狙うタイミングはもっと遅いと思っていました。でも、このブレイクによって、グローバルでも理解してもらえるし、ニーズがあるという手ごたえを感じました。中東で人気になったきっかけは、いまだによく分かっていませんが(笑)。

――日本でのターニングポイントは?

舛田 中東のヒットと同時期に、国内ユーザーからも「メッセンジャーとして使いやすい」という評判や反応が徐々に届き始めたんです。ここで、ある程度の土台ができたという判断をして、無料通話とスタンプを導入しました。

この新機能によって広がり方が変わりましたね。例えばメッセンジャーとして使いやすいアプリであっても、「使いやすいメッセンジャーがあるよ」というのは、キャッチーじゃないし他の人に勧めづらい。それが「無料通話ができるメッセンジャー」という非常に誘いやすいものになった。さらに無料通話をしているときに、へんなスタンプが送られてきたら、「これなんだ?」ってなる。それで「変なスタンプが送れるメッセンジャー」になれる。既存のユーザーのベースができ始めたところに、説明のしやすい要素を入れてあげたことによって一気に広がりました。

このときの手ごたえで始めたことが3つあります。1つがテレビCM。狙いは、人に紹介しやすい要素をもう1つ足してあげること。機能論ではなく「ベッキーが泣いているCM」というアイコンで、LINEを知らない人へさらに伝えやすくなった。もう1つが世界展開です。すでに中東だけでなくアジア圏でも人気になっていたので、東アジアのマーケティングを直接やっていくことに決めました。3つ目が当初から考えていた、サービス基盤になるプラットホームにすること。LINE+というコードネームで、2011年11月あたりから準備を始めました。

2012年後半には、単なるコミュニケーションツールではなく、「プラットフォーム」になりますと宣言。そこからゲーム、ショッピング、クーポン、占いといった様々な機能を追加しました。このタイミングも大きなターニングポイントですね。

――次のステップとして何を目指していますか?

舛田 2013年1月に1億ユーザーを達成しましたが、世界には50億人以上も、まだ我々が出会ってない方々がいます。今後、そういった方々とどうやって出会っていくのか。そしてプラットフォームとして、ライフスタイルのインフラとでも言うべき存在に、どうやってなっていくか。

つまり、ウィンドウズやグーグル、iPhone、フェイスブックといった世界の共通文化というべき存在にどうやったらなれるか。日本から世界に向けて、LINEで実現させていくことが私の次のミッションだと思っています。

舛田淳(ますだ・じゅん)
 1977年生まれ。学生時代からネット関連の企画を手がけ、数社の役員を経て、2008年にNAVER Japan入社。2012年、グループの経営統合に伴い、NHN Japan株式会社 執行役員に就任した。NAVER、livedoor、LINEの事業戦略・マーケティング責任者として活躍するキーパーソン。

(連載終わり)

(ライター 久村竜二)

[日経エンタテインメント!2013年4月号の記事を基に再構成]

[参考] 日経エンタテインメント! 4月号では、「ヒットメーカー・オブ・ザ・イヤー」特集で、2012年のヒットを生み出した、今最も旬のクリエイターの方々を紹介しています。そのほか「ジャニーズ 新時代」特集も掲載。

日経エンタテインメント! 2013年 04月号 [雑誌]

著者:
出版:日経BP社
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