扁平足で足底がつぶれると外反母趾になりやすい
ここで左ページのイラストで“足底を支える力”についてさらに詳しくみていきましょう。
まず、アキレス腱側から内くるぶしの下を通り、舟状骨を真下から支えているのが「長母趾屈筋(ちょうぼしくっきん)」と「長趾屈筋(ちょうしくつきん)」。長母趾屈筋は親指へ、長趾屈筋は残りの4本へとつながり、足底のクッションの役割を果たします。
でも、これだけでは重みを支えきれません。そこで舟状骨を上に引き上げるのが、すねまでつながる「前脛骨筋(ぜんけいこつきん)」と「後脛骨筋(こうけいこつきん)」。これら4つの筋肉が、きちんと働いていれば土踏まずはしっかりと形成されますが、だらんと力を失うと扁平足になります。長時間立ったり歩いたりすると足裏がだるくなるのは、扁平足の代表的な症状です。
さらに困ったことに、扁平足は外反母趾を誘発します。
扁平足になると、重心が土踏まずの部分にかかるので、足の親指側への負担が増え、足底の親指の内側についている「母趾内転筋(ぼしないてんきん)」が硬く縮みます。加えて、幅の狭い、つま先が細くなった靴を履いている人は、親指が内側に圧迫されて「くの字」になりやすい。すると足の甲から親指の付け根にかかる「第1中足骨(だいいちちゅうそくこつ)」が内側に折れ、突き出した部分が痛みます(イラスト下)。これが外反母趾。この状態がひどくなると、本来は親指を外側に開く働きを持っているはずの「母趾外転筋(ぼしがいてんきん)」も骨と同時に小指側に入り込んでしまう。すると、いざ親指を開こうとしても言うことを聞かなくなる。自分は、親指を開く方向に働かせているつもりなのに、母趾外転筋は反対に「内転」方向に働いて、親指を閉じるようになります。結果的にどんどん外反母趾を増強してしまうのです。そのため、外反母趾がひどい人は、足の親指を開く運動は注意して行う必要があります。