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ライフコラム
子どもの学び

2014/7/22

子どもの学び

中学受験勉強していても、テレビも見てほしい

清水教頭は入試問題の作問に関する貴重な裏話を教えてくれた。

「ある年の入試問題に使用した『水かまきり』(川上弘美著)という物語文の中に、ケン坊という青年が、河原で石を拾い、水切りの遊びをする場面がありました。『ケン坊はその大きなてのひらにちょうどいい大きさの石をのせて、ぐっと肩を落とした。そのまますいと石を投げる。石は水面を何回も切って、向こう岸に近いところまで飛んだ』と描写されています。私はここに傍線を引いて、次の表現のうち、いちばん近いものはどれかという問題を考えました。選択肢は、ア=オーバースローで投げたスローボール、イ=アンダースローで投げたストレート、ウ=サイドスローで投げたチェンジアップ、エ=スリークオーターで投げたカーブというようなものでした。答えはイです。水切りをやったことがあって、野球も知っている子なら答えられるだろうと思いました。そういう経験をたくさん積んだ子に来てほしいですし、男子校らしいいい問題だと思いました。でも、スリークオーターとかチェンジアップって難しいでしょうという指摘があり、大議論の末、却下されました。悔しかったですね。でもそういう思いを込めて、いつも問題をつくっています」とのことだ。

中学受験勉強の最中においても、世の中がサッカーのワールドカップで盛り上がっているのならやっぱりそのことを気にしてほしいし、テレビだって見てほしいし、家族で話題にしてほしいと清水教頭はいう。

子どもの視野を広く保つためには親の生活態度が重要だともいう。

「お父さん、お母さんが、子どもの中学受験勉強のことだけで頭がいっぱいになっているようではいけません。一人の男として女として、それぞれの人生をしっかり歩んでほしい。そういう余裕のある家庭でないと、人間性に幅のある子どもは育ちません。私たち東大寺の教員も、教員としての顔だけではなくて、違う顔をそれぞれもっており、それをときどき生徒たちに見せるようにします。そういう大人を見て、子どもたちは人間としての幅の大切さに気付き、人生を豊かにしようと思うようになるのではないでしょうか。それが教育目標の一つである『豊かな人間性の形成』につながります」

DATA

東大寺学園中学校・高等学校
http://www.tdj.ac.jp
・募集定員 男子176人(高校から約40人)
・入試日(2015年) 1月20日
・所在地 奈良県奈良市
・最寄り駅 近鉄京都線「高の原」から徒歩約20分
おおたとしまさ
 育児・教育ジャーナリスト。心理カウンセラーの資格、中高の教員免許、私立小学校での教員経験もある。著書に『中学受験という選択』(日本経済新聞出版社)、『生きる力ってなんですか?』(日経BP社)、『中学受験 名門中学の子どもたちは学校で何を学んでいるのか』(ダイヤモンド社)などがある。

(構成 日経キッズプラス)

日経ホームマガジン 中学受験する?公立に行く? (日経ホームマガジン 日経Kids+)

著者:
出版:日経BP社
価格:920円(税込み)


生きる力ってなんですか?

著者:おおたとしまさ
出版:日経BP社
価格:1404円(税込み)


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