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ライフコラム
子どもの学び

2014/7/22

子どもの学び

読みながら、音や映像がイメージできるか

国語の入試問題については、国語科教員でもある清水優教頭に聞いた。東大寺の中学入試の国語は、「漢字・語句」「評論文」「小説または随筆」の3部構成である。それぞれにこだわりがあるが、今回は「物語文」の問題から。

登場人物の心情を考え記述させることは多くの学校でも定番の問題である。しかし東大寺の場合、そのほかに、文章を読みながら、音声や映像へと変換できる能力があるかどうかも試すという。

たとえば2005年度の入試の大問4。『鳩の栖』(長野まゆみ著)から引用された物語文の中に、「水琴窟」という単語が出てくる。日本庭園で使われる音響装置のことで、地中に伏せ瓶を埋めるなどして空洞をつくり、そこにしたたり落ちる水が反響して音が鳴る仕組みである。しかし水琴窟自体を知っている小学生は少ないだろう。私も知らなかった。もちろん文中にそんな説明は書いていない。しかし登場人物たちは、会話の中でその仕組みを語り合い、それが奏でる音について次のようにさまざまな表現を口にする。

・おもりとオルゴールがしかけてある赤ん坊をあやすおもちゃを耳もとでふっているみたいな音

・小判の降る音

・金属片がふれあう時のかすかな響き

・たまをころがすような音

・ホウロウの器に豆を入れてくるくるまわしたときの音

・黒鉄の風鈴をならしたような音

そして、「それは楽器にたとえるとどんな音ですか」と問う。

ア 小太鼓を速いテンポでうったような音

イ ハープの高音部を軽くはじいたような音

ウ クラリネットをゆるやかに吹いたような音

エ ヴァイオリンの高音部を力強くひいたような音

金属音に近い音であり、しかも高音であるイメージができるかどうか。選択肢の中で迷うとすればイかエだろう。ハープとヴァイオリンのどちらが金属音に近いかといえば、ハープだろうと想像できる。正解はイである。

「先行きの不透明な時代においても生きていけるよう、不測の事態に対処できる力を養成したいと願って日々、教育しています。だからレールを敷かず、マニュアルも用意せず、生徒たちを自由にさせて、たくさんの挫折や失敗を経験させます。東大寺はいわば、戸惑う練習の場です。自分の持っている知識や技術や与えられたヒントをもとに類推し、最適解に一歩でも近づこうとする意欲を、入試問題でも見ているつもりです。それが教育目標にも掲げる進取的気力の養成につながります」

さらに文章を映像として思い浮かべることができるかどうかも試す。物語文そのものはここには掲載しないので答えようはないが、どんな力を試しているのか、参考として選択肢だけ見てほしい。

(問) この文章から読み取れる、樺島の家の「樺島たちのいる部屋」「縁側」「玄関」「手水鉢」の位置関係はどうなっていますか。次のア~エの図の中から最も適当な物を一つ選んで、その記号を書きなさい。

下線部だけを拾い読みして、効率よく答えようとするのでは、答えられない。描かれている情景をイメージしながら読めているかどうかを試す問題だ。

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