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妊娠糖尿病になって初めて分かった食事療法の難しさ

米国NPの診察日記 緒方さやか

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NIKKEI STYLE

 米国の医療機関などで働きながら、出産・育児を経験した著者が、仕事・出産・子育て・文化の違いなど、さまざまな切り口で、米国社会とそこで働く女性の現状を紹介。読めばリアルな米国が見えてきます。さて、今回取り上げるテーマは、妊娠中のトラブル――。著者は妊娠糖尿病と診断されたのだとか。

産科医から「体重増加が少ないわね、ちゃんと食べてるの?」などと心配され、いい気になり楽しく色々食べていた。吐き気は妊娠中期には解消したし、手足もむくまず、腰痛もない。多少の疲れと眠気以外は快適な妊娠生活だった。仕事は続けていて、「出産予定日の1週間前まで産休は認められない」と人事部に言われたが、「この調子なら全く大丈夫」と、自分の幸運を喜んでいたほどだ。

それが急転したのが、妊娠24週~28週で受ける、妊娠糖尿病スクリーン検査だった。「家族に糖尿病の人もいないし、多のう胞性卵巣症候群(PCOS)歴もない。絶対に大丈夫だ」と高をくくっていたので、「陽性です」と助産師から電話連絡を受けた時は、本当にびっくりした。糖負荷試験の2時間後の数値が異常値だったという。

赤ちゃんへの糖尿病の影響はもちろん心配ではあるが、それ以外にも懸念はある。妊娠糖尿病の場合、妊婦の血糖値と胎児の測定サイズによっては、促進剤を使って予定日より前に出産しなければいけないこともある。促進剤によって陣痛が強まるとの話を聞くこともある。当然、その場合は痛み止めの量も多くなりがちだ。「できるだけ自然に出産したい」「できれば薬なしのお産を」と思っていた私にとって、これは不安なことだった。

幸いなことに、私は成人科のナースプラクティショナー(NP)として、食事療法の仕方や痛くない血糖値の測定の仕方などを、一通り心得ている。そんな私に対して、産科の糖尿病認定看護師は、胎盤から出るHPL(ヒト胎盤性ラクトーゲン)というホルモンの影響で、リスク要因がなくても妊娠糖尿病になることがあることを、長い時間をかけて根気よく説明してくれた。

妊娠糖尿病は胎児への影響があるから真剣なのだ

その上で血糖値測定器を渡されたが、「1日に7回(1日3食の前後と、就寝前)測ってくださいね」と言われて、その頻度に驚いた。さらに食事の2時間後のターゲット血糖値は120mg/dL未満、空腹時は90mg/dL未満と、私が2型糖尿病の患者さんに普段指導している数値よりも厳しい。2型糖尿病と違って、妊娠糖尿病は胎児への影響があるから真剣なのだ。

「糖尿病の影響より、自分が毎日傷だらけの指でC型肝炎など感染リスクのある患者さんの内診などをしていることの方が、赤ちゃんへのリスクという意味では不安だ」と心の中で思ったが、言っても仕方がない。その点については、バンソウコウだらけの手に手袋をして、手袋に穴がないことを祈るしかない。

さて、妊娠糖尿病と診断されて最初の1週間。私は色々なものを食べて、自分の体で研究してみた。面白いことにタルトや生クリームたっぷりのケーキなどの甘いものも、1/3くらいずつ、なんらかのたんぱく質と一緒に摂りながら1個をゆっくり食べると、さほど血糖値は上がらない。一方、白米やパスタを食べると血糖値が確実に上がることや、バーベキューソースやトマトソースなどの調味料類にも多くの糖類が入っていることが分かった。

そこで、おかずの塩分を減らし、主食なしでおかずやサラダのみを食べることにした。また、食後にじっと座ってカルテを書いていたりすると数値が高めに出るので、食後は必ず散歩するか階段を上るようにしてみた。そうやって、目標の数値を保つことができるようになり、そのまた2週間後に受診した母体胎児専門医からは褒められた。

仕事で忙しくて運動ができず、食事も作れない

ところが、その後、目が回るほど仕事が忙しくなってしまった。 午前中のカルテがたまってしまい、昼食後にカルテを書く代わりに散歩すれば、仕事が夜までずれ込むことになる。食事の2時間後、血糖値を測る時間を知らせるアラームが鳴る時も、間違いなく診察中だ。

助産師に2週間に一度会う以外に、毎週火曜日しか外来診療をしていない母体胎児専門医の診察を受ける必要があるし、34週目からは加えて毎週、胎児の心拍数を調べるNST(ノンストレステスト)と、胎児が低酸素症となっていないかを確認するBPS(biophysical profile scoring)も受けなければいけなくなった。 だが、産婦人科のある病院は仕事場からも家からも電車で40分ほど離れた所にある上、待ち時間も長い。前はマタニティーヨガに行ったり、たまにはジムで軽く運動をしたりしていたのだが、妊娠糖尿病になってからはそんな時間がなくなり、料理する暇もなくなったため、気がついたら外食ばかりの毎日である。

これでは、本末転倒ではないか!

さて、困らされている妊娠糖尿病だが、図らずも医療者が病気になるとどうなるか、成人病に関わるNPとして貴重な経験ができた。 当然だが、野菜が多くてヘルシーな食事は、パンや白米を食べるよりも高くつくので、一部の患者さんにとっては、コストが大きなハードルになる。

また、私の場合は「赤ちゃんを産むまで」と、期間が限定されているから頑張れた(もちろん、産後も糖尿病でこの食事が続く可能性はあるが、少ない可能性である)。しかし、もしこの食事療法が一生続く場合、あるいは血糖値を下げなければいけない理由がもうすぐ産まれる赤ちゃんの健康を守るためでなく、「将来の心筋梗塞を予防するため」など、曖昧で実感の湧かない理由だった場合、頑張りにくいだろうということは容易に想像がついた。

この経験を、患者さんの治療や食事指導をより効果的にするために生かしていきたいと考えている。

緒方さやか(おがた・さやか)
 婦人科・成人科ナースプラクティショナー(NP)。2006年米イェール看護大学院婦人科・成人科ナースプラクティショナー学科卒。「チーム医療維新」管理人。プライマリケアを担うナースプラクティショナーとして、現在、マンハッタンの外来クリニックで診療にあたる。米ニューヨーク在住。

[日経メディカルオンライン 2012年12月7日付記事を基に再構成]

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