抜け出るのは誰だ? 次世代ヒロイン決戦芸能プロダクション研究(3)日経エンタテインメント!

一つのプロダクションに異なる世代の女優がいれば、自社の女優が主演する連ドラで、「うちにはこういう女優もいますが、妹役などに起用していただけませんか?」とプロデューサーにキャスティングの提案をすることができる。「バーター」と呼ばれる手法だが、お笑い芸人がバラエティー番組などで言うようになったことから一般的にもなじみのある言葉になってきた。

バーターは、芸能プロダクションにはメリットが大きい。あるプロダクション関係者は「セットで認識してもらい両方のファンになってもらえる。一例としては、オスカープロモーションに所属する武井咲さんと剛力彩芽さんがたびたび一緒のドラマに出演していた。それを見て武井さんファンが剛力さんのファンにもなったケースは多いはず」と前向きにとらえる。

事務所のカラーを打ち出す

最近は、個々の女優や俳優ではなく、「スウィートパワー・モバイル」(スウィートパワー)、「トップコートランド」(トップコート)など、事務所ごとのファンクラブや公式モバイルサイトを作っているところが増えている。「震災後はプロダクション単位のイベントが増え、事務所のカラーを打ち出すことが必要になってきています」(同関係者)。

コンスタントに若手を育ててプロダクションの知名度が上がれば、街頭でのスカウト活動でスカウトマンが名刺を手渡したときにも、安心して話を聞いてもらいやすいといったメリットもある。スカウトがしやすくなって、有望な新人を獲得するチャンスが増すという好循環が生まれるわけだ。

さきほど掲載した表1を横で比較すれば、同じに世代にいる、ほかのプロダクションの女優が分かる。層が厚い世代は、ドラマや映画の役の奪い合いになることも多く、あえて同じ年齢の新人は作らずに、少し世代をずらして、新人を育てるという方法を取ることもある。

女優豊作年といわれる88年生まれ世代は、新垣結衣黒木メイサ戸田恵梨香堀北真希らがいて、ヒロインタイプの女優の層が厚い。ホリプロは、この年代(現在の21歳~23歳以上)には、助演でも味を見せる演技派の佐津川愛美がいるものの、ヒロインタイプの女優はいない。同社には年齢が数歳だけ上になる石原さとみがいることもあり、し烈な同世代争いは避ける戦略を取ったようだ。

これらU‐23世代の女優たちが連ドラや映画のヒロインの常連に定着し、大人の女性の役が似合う年齢になってきた。高校生や大学生の役柄を演じることができる10代の次世代女優のニーズが高まっている。大ブレイクし、所属事務所のイメージアップにも貢献することができるのはいったい誰だろうか。

(連載終わり)

(ライター 高倉文紀)

[日経エンタテインメント!2012年6月号の記事を基に再構成]

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