祖父母への感謝とストレス ワーママ赤裸々座談会
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川上さん…40歳。医療、広報。フルタイム勤務。都内在住。10歳息子、3歳娘を持つ。夫婦ともに地方出身だが、実母と同居し、5人暮らし。夫は長期海外出張で不在になることが多い。
佐久間さん…37歳。IT、企画。都内在住。フルタイム勤務。3歳娘を持つ。夫婦ともに地方出身。現在はベビーシッターを週1日手配している。実母は3~4カ月に1回ほど上京。
祖父母と同居、通ってサポート…。祖父母支援の形はそれぞれ
――皆さん、家事・育児に祖父母のサポートを得て、残業もある忙しい仕事をされています。まずは、どのようなお手伝いをお願いしているのか教えてください。
飯田 「うちは両方の実家が地方なのですが、関東近郊なので一度来たら2~3泊して手伝ってもらうことが多いです。埼玉に住む義母は毎週3日ほど、栃木に住む私の母は月に1回3泊ほど滞在します。それ以外は、アウトソーシングでファミリーサポートセンター(ファミサポ)などを頼んでいます」
佐久間 「私と夫は地方出身で実家が遠いので、普段はベビーシッターの方をお願いして、子どものお迎えや夕食作りなどを手伝ってもらっています。親のサポートを頼むのは、子どもが病気で入院したときや引っ越し、仕事復帰のときなど緊急度の高いとき。そういうことって大抵重なっちゃうんですよね。そういうときは、実母に1~2週間泊まり込んでもらっています」
川上 「地方からだと交通費もばかにならないですよね? どうしているんですか?」
佐久間 「新幹線を利用しても時間がかかるところなので飛行機で来てもらったほうが早いのですが、母は夜行バスで来るんです。体力的にもキツいと思うので『飛行機代を出すから』と言うのですが、そういうのを節約することを重視する世代というか…。頭が下がります」
川上 「たくましいですよね~、母の世代って。わが家は父が他界して母が一人暮らしをしていて心配だったこともあって、2人目を妊娠したのをきっかけに呼び寄せて同居を始めました。私も仕事復帰に向けて子育てなどを手伝ってほしかったこともありますが、母の今後が心配だったという理由が大きいです」
――旦那さんは反対しませんでしたか?
川上 「夫は、年に何度も長期の海外出張に行くような仕事をしていて、家事・育児では戦力外なんです。それでも、子どもが1人のときは自分だけで何とかやってきましたがすごく大変でした。だから、夫はサポートが得られることに賛成でした。ただ、義理の両親は『息子がマスオさん状態になるのはあんまりだ、かわいそう』と心配して反対してたんです」
――息子さんが心配だったんですね。
川上 「でも、ある日夫が1人で実家に行って、これまで私が仕事と子育てを頑張ってきたことなどを義理の両親に話して説得して帰ってきてくれたんです。ほれ直しました!」
一同 「かっこいい~!!」
川上 「おかげでそこからはトントン拍子で事が動き、みんなで住める広さの部屋を見つけて引っ越し、産休に入った時点で同居がスタート。現在3年目です」
孫への愛情があるからこそ、真剣に怒ってくれる
――同居だと、急なお迎えのときなどいつでも頼めて、ワーママにとっては羨ましい状況な気がしますが、実際はどうなのでしょう?
川上 「確かに、とても助かっています。母は料理も得意で栄養バランスの取れた食事を作ってくれて、子どもの面倒も見てくれて、本当に感謝しています。それに、家族だからこそのいいところは、子どもに無条件の愛情を注いでくれることです。きちんと怒ったり、勉強を見たり、興味や関心の芽をちゃんと拾ってくれたり、子ども達をよりよく成長させようとしてくれる人が親以外にも身近にいることは、子ども達の成長にもいいことだと思ってます」
飯田 「そうですよね! うちも子どもがなかなかちゃんと片付けができないなと思って注意していたら、ある日義母が『子どもがプリントを片付けられる棚がこの家にはないのよね。片付ける場所をきちんと用意してあげたらどう?』と言ってくれて、ハッと気付きました。私たち親が忙しくてつい見落としていることを、祖父母はきちんと見てくれてるんですよね」
佐久間 「うちも孫がかわいくて仕方ないみたいで、本当によく相手をしてくれます。それに、母が来ている間は、仕事から帰ったときにちょっと愚痴をこぼせたりお茶を飲みながら話せる相手になってくれたりする存在が居ることも、私にとって安心材料かも。夫が相手だと、どうしても責める口調になっちゃったり、言い合いになっちゃったりすることもあるけど、同性の母とだったら世間話みたいにサラッと話せちゃうから、ストレス解消になってます」
川上 「そうそう、家に帰ってから話せる相手がいるって大きいですよね! 産休で1人で赤ちゃんと家にいたときなんて、『大人としゃべりたい!!』って苦しくなりました。でも、今は家で母とちょっとした話ができるから、仕事のストレスとかイライラしたこととかで子どもに直接あたることがなくなり、ワンクッション置かせてくれる存在です」
母の愚痴 聞かぬフリして、なんとか関係を保つ
――子どもを一緒に見守ってくれる人がいるって、親にとっても心強いですよね。でも、同居や長期滞在だと、夫婦と子どもだけという家族水入らずの時間がなくなってしまったり、夫の役割がなくなったりしないのでしょうか?
川上 「夫は普段からいないし、いても帰りが遅い。同居なので、確かに母と私と子ども達での時間が圧倒的に多いですね。それで日々の生活が回っているところはあります。でも、週末の夜、夫が家にいるときは、自然と家族4人の時間になっています。そういうときは、母も週末に自分の予定を入れたり、自分の部屋でゆっくりしていたりすることが多いので、メリハリがついています」
佐久間 「うちは、母はたまにしか来ませんが、滞在が2週間などに長引くこともあります。すると大人3人(夫と私と母)が気を使い過ぎて疲れてくるんです。ちょっとしたことでお互いイラっとしたり。なので、夜遅くても夫と2人きりで話す時間を確保したり、母とは一緒に出かける時間を作ったりするようにしています。小さなことでもみんなが不満に思っていることを聞き出して、やんわりとそれぞれに改善を促すこともあります」
飯田 「わが家は週の半分くらいだけ義母が来るので、それ以外は夫と協力してやっていかなくてはいけない分、いいコミュニケーションになっていると思います。でも逆に義母が気にして『子どもは早く寝て、ママとパパの2人っきりの時間が夜に欲しいでしょ~』とか子どもに言うことがあるので、『い、いや、別に何も~』ってこっちがあたふたしちゃうことも(笑)」
ママたちのリスクヘッジ「夫の愚痴を一緒になって言わない」
佐久間 「あと、母親って、娘と一緒に何かの愚痴を話したいみたいなんですよね。特に、父や夫など共通の家族や知り合いについて。でも、それにはあまり乗らないようにしています。例えば、一緒になって夫の愚痴を言い始めたら、それこそ夫の居場所がなくなってしまうし、口に出すとイヤなほうにどんどん考えてしまいそうなので」
――それって、すごく大事ですよね。愚痴を言い始めることで夫婦関係が悪化しちゃうこともありますよね。
川上 「私も同居しているとついそうなっちゃうんですが、母がちょっと夫のことでマイナスなことを言いそうになっても『彼はこうしたいと思ってるんじゃないかな』とポジティブな側面を言うようにしています」
飯田 「うちは来るのは義母だから、その日は私が残業したり飲みに行ったりして、夫に義母と子ども達との時間をあげることもあります。なんか、家に帰りたくないオヤジみたいだけど(笑)。でも、夫が義母と水入らずになりたいこともあるでしょうから」
川上 「義母と夫、母と夫、母と娘、義母と私…それぞれの距離の取り方って違うから、気を使っていくのは大事ですよね」
(次回に続く)
(ライター 岩辺みどり)
(日経DUAL2014年4月4日掲載記事を基に再構成)
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