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 マグロ漁船では、全長20mの船に20~50代の9人の漁師が、40日以上の航海を共にする。そんな過酷な状況だからこそ、ストレスをためない知恵を持っている。マグロの鮮度保持剤を開発していた齊藤正明さんは、全国トップランクの水揚げを誇るマグロ漁船に乗船。狭い船内で長期間を過ごしてもイライラしない職場作りの知恵を、船長から学んだ。
齊藤さんが乗ったマグロ漁船は全国で500隻あるうち水揚高トップ3に入った。右上のたばこをくわえている人物が船長。

齊藤さんが乗ったマグロ漁船は全国で500隻あるうち水揚高トップ3に入った。右上のたばこをくわえている人物が船長。

マグロの鮮度保持剤の開発のため、マグロ漁船に乗船した齊藤正明さんは、「すぐカッとなって怒鳴る」という漁師の印象がガラリと変わったと話す。狭い船内に40日以上一緒にいるのに、誰もイライラしない。船長のリーダー力と人間力が、チームの雰囲気を良くしていたからだ。これは、イライラしない職場作りの見本と言える。

「例えば、船長は必ず漁師たちの良い点を見つけて褒める。それも、絶対に上から目線で褒めない。『若手が船内を直してくれた。本当に助かる、ありがとう』と本気で感謝する。それはほかの漁師たちにも伝染し、仲間の良い点を褒め合う文化が出来上がる」(齊藤さん)。

ほかにも船長の「イライラさせない知恵」はたくさんある。職場作りの参考にしてほしい。

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~齊藤さんが学んだ、イライラしない職場を作る「リーダーの導く言葉」~

◆ 相手の存在価値を認めながら叱る
「バカか! ここでケガしたら戦力半減じゃねーか!」

ある日、1人の漁師が、甲板に打ち上げられたサメに足を噛まれた。大事には至らなかったが、船長の「ゴルァ!」という怒声が(上の言葉)。叱責ではなく、「おまえが欠けると戦力が落ちる」「おまえは役立つ人間だ」など、相手の能力や存在を尊重すれば、わだかまりなく真意が相手に届く。

◆ 短所は見方を変えれば長所になる
「この船にいるのは明るい奴ばっかりやねーんど。全員が明るいと、船が沈むからの。明るすぎると危機管理が弱くなるからの」

漁師たちが全員前向きな性格だと慎重さが薄れ、危険な目に遭う確率が高くなる。そう考えれば、短所と捉えられがちな後ろ向きな性格も、危険を感じる能力が高いという長所に変わる。短所も考え方次第で長所になると分かれば、人の短所が気になってイライラすることもなくなる。

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