今年は「暖冬」って本当? 季節予報は信用できるか気象予報士 伊藤みゆき

9月25日に気象庁が「冬の天候」の予報を発表しました。この冬の気温は、沖縄から関東甲信越にかけてが平年並みかやや高めということで、暖冬傾向。東北や北海道は平年並みと予想されています。

今年は暑い日が続いたこともあり、ようやく秋を感じ始めたばかりですが、もう冬の予報ができるのはどのような仕組みなのでしょうか?

冬の天候予報は「寒候期予報」というもので、毎年9月末ごろに発表される季節予報の一種です。季節予報は予報期間が長く、日々の予報(短期予報)とは性質が異なります。日々の天気や気温の予報は「雨がいつ降る」「最高気温は19度」などのズバリ予報。これに対して冬(12~2月)の予報は、「平年値と比べてどうか」という予報です。性質の大きな違いは予測方法です。

まず、天気予報の基本は、空気の流れを基に雨や気温を予測します。現在、日本だけでなく世界中で気温や風、雨量などの気象観測が行われていて、そのうち一定の時間(日本時間だと9時と21時)の観測データから、将来の空気の状態をスーパーコンピューターで計算しています。ただ、これには誤差がつきまといます。世界中でまんべんなく気象観測が行われているわけではないのでデータが不十分だったり、計算上の地域よりも狭い範囲で起こる事象もあるからです。日々の短期的な予報の範囲なら精度が良くても、時間が経つほど誤差が大きくなります。

そこで、季節予報ではいわば「多数決システム」をとっています。生じるであろう誤差を逆手にとって、色々な誤差の可能性から平均的な答えを導き出すのです。ある日の空気の状態を基にあらかじめ51パターンの誤差を生じさせ、それぞれの計算結果を導きます。このそれぞれのパターンを、気象庁では「メンバー」と呼んでいて、同じ答えを出すメンバーが多いか、バラバラかをみるのです。例えば、1月はほとんどのメンバーが「2度くらい高い」といっているのに、2月は「2度高い」から「3度低い」までばらつきがある、といったようになります。その振れ幅の平均をとったものを発表の目安にするのです。振れ幅が狭ければより信頼度の高い長期予報を発表できますが、振れ幅が広くなると予測が難しくなります。様々なシナリオが考えられる中で、平均的な傾向を選ばなければなりません。