働き方・学び方

定年世代 奮闘記

ひつぎの中は意外に落ち着く 定年男子の終活見聞録

2012/11/24

ここ2、3カ月の間、各地の葬儀社や霊園、司法書士、介護・医療施設などを訪ね歩いた。終活と一口に言っても、関連する分野は多岐にわたる。時間はたっぷりあるが、体力の衰えが目立つ高齢者には、かなり大変なことだった。しかも訪問先は、どちらかといえば暗いイメージが付きまとい、気軽に立ち寄りにくい所が多い。なかなか足が進まない。

■遺影撮影会、カメラの前に順番待ちの行列

入棺体験でひつぎに入る人も(川崎市)

「あらゆる終活相談が1カ所でできればいいのだが」と考えていたところ、最近になって、関連業者や専門家が集まり合同説明、相談会を催す例が一部で見られるようになった。

9月末、川崎市で開かれた「終活フェア」もその一つだ。市内の葬儀会社が発案し、霊園、石材業者、介護・医療施設、法律専門家など14の会社、団体が参加した。これまでも、数業者が手を組んで小規模の相談会を開く例はあったが、フェアと銘打った大規模な催しは、「おそらく初めてだろう」と主催者は話す。各種のブースが並ぶ会場は、さながら終活の見本市のようでもあった。

■本物のひつぎで入棺を体験

葬儀関連の業者が集まった「終活フェアin川崎」(川崎市)

特設会場では、健康ヨガの実演や、臨終から葬儀、相続手続きまでを描いた素人劇も披露された。プロカメラマンによる遺影の撮影会もあり、カメラの前には順番待ちの行列ができるほど。撮影を終えた高齢者の多くが、「懸案が一つ解決した」「親が亡くなったときは、ろくな写真がなくて大騒ぎだった」と喜んでいた。私もそうだったから、その気持ちはよく分かる。

一角には、本物のひつぎを用意した入棺体験コーナーまであった。ひつぎの中からVサインを送る人もいる。入ってみると、意外に落ち着くものだ。会場は終日、お祭り騒ぎのにぎわいに包まれた。

主催者の1人である葬儀会社、神奈川こすもすの清水宏明社長は、「どうせなら、楽しい終活を」と呼びかける。「我々の業界は、とかく閉鎖的で暗いイメージがあり、気軽に相談に行きづらい所と見られがちだった。これを機に、正確な情報提供と消費者との接点を大切にする開かれた業界にしたい」と、親しみやすい終活の環境づくりを強調する。

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