冬服をしまってもOKな天気のサイン気象予報士 伊藤みゆき

霜が終わる頃が春への本格的な切り替わりの時期

このところ「もう寒くならない?」「本当に冬服をしまってもいい?」という質問をよく受けます。

東京では3月から4月にかけて急速に春めいたかと思えば、雨が降った日は暖房のお世話になる…といった気温のアップダウンが大きくなっています。順調に春への準備や心構えが出来なかった人が多いようです。

寒さの終わりを知る手掛かりの1つが「霜が終わる時期」です。

「霜」は「雪」よりも遅くまで観測される冬の現象で、霜が終わる頃が冬から春への本格的な切り替わりの時期といえそうです。

霜は放射冷却現象と強い結びつきがあります。移動性の高気圧に覆われて穏やかに晴れた夜間は冷え込みが強まり、霜が降りやすくなります。霜が降りるときの地表面付近の気温は0度以下ですが、天気予報で使用する気温は地上1.5mの高さで測っています。

このため「天気予報で朝の気温が4度以下なら(地面付近が0度以下になって)霜が降りるかも」という目安になります。朝の気温が4度くらいだと暖房に手が伸びる人も多いですし、春の装いで出かける気にはならないかと思います。このため霜が降りているうちは冬服の出番もある…と用心をした方がよさそうです。

「最後の霜」の平年日は気象庁のHPで調べられます。例えば、熊本4月1日・京都4月6日・仙台4月9日・甲府4月14日・長野4月28日・札幌4月24日・青森4月27日・旭川5月15日など、内陸部や北日本はちょうどこの時期、4月から5月初めにかけての地域が多いです。「霜が終わる時期」に合わせて農作業も本格化してきます。『八十八夜の別れ霜』という天気のことわざがありますが、これは「立春から数えて88日目(今年は5月2日)ごろには霜が降りなくなる」という農事上の目安を示したものです。

ところが「最も遅い霜」を調べてみると、熊本1940年5月6日・甲府は1898年5月16日など、平年よりずいぶん遅くに霜が降りることがあります。東京も5月に霜が降りたことが3回あり、最も遅い記録は1926年5月16日です。札幌では1908年6月28日、旭川は1890年7月7日…もう夏、というころに降りた記録があります。

2010年4月17日の東京の雪。桜満開の後で、統計史上最も遅い雪(タイ記録)となった。でも、霜の最晩記録は雪よりも1カ月近く遅い