その風潮を後押ししているのが、SNS(交流サイト)の普及。今日では、ツイッターやフェイスブックが書店員同士の情報共有に活用されるなど、ネット情報の影響力が非常に大きい。ツイッターなど文字数に制限があると、「こういう主人公がこういう場で活躍する」と端的にオススメポイントを示せる作品のほうが取り上げやすい。キャラノベなどポイントを絞りやすい作品が注目を集める遠因となっている。

人気が高いのは職業+恋愛

キャラノベの開拓者とも称されるのが、2012年6月に原作アニメ映画が公開された『図書館戦争』で大ブレイクした有川浩。有川流のキャラノベには、分かりやすい特徴があると関口氏は指摘する。

「顕著なのが、職業と恋愛という2つの要素です。自衛隊や図書特殊部隊など特徴的な職場を舞台にすることで、世界観を際立たせやすく、サブキャラクターも生み出しやすくなっている。日常的にはあまりなじみがない職業や職場を描くことで読者の知的好奇心も満たされますし、ベタな恋愛は共感を生みやすいので読者は安心感を持って読み進むことができます。世の中全般として恋愛に対するモチベーションが下がっていることを逆に反映しているのか、彼女の小説では“ベタ甘”と呼ばれるほどの恋愛が描かれます」

一方で角川書店『ノベルアクト』編集長の柏井伸一郎氏は、有川のポジションに違った見方を示す。「有川作品のような、リアルな世界にファンタジーを加えた作風は、もともとライトノベルのジャンルでカバーできていました。それがライトノベルが男性向けの萌え系中心に特化してきたことで、女性が読むような作品が一般文芸に近いエリアに押し出される形になったのではないでしょうか」

ライトノベル市場の変化によって、一般読者の目がキャラノベに向きやすい状況が生まれたということだ。実際に、大型書店などにはライトノベルと一般文芸を融合させたようなコーナーを新設・増設しているところも増えている。