経験の蓄積が2010年代に結実

そして2010年以降、これまでハリウッド映画が蓄積した各時代の成功ノウハウが一気に結実する。1位『アベンジャーズ』、2位『ダークナイト ライジング』、5位『アイアンマン3』といった、スペクタクル映像をふんだんに盛り込んだ娯楽作は、70年代以降のルーカスやスピルバーグ、80年代のティム・バートンやゼメキスの流れをくみ、当時を知る映画ファンも飽きさせない新たな仕掛けと、どこか懐かしい勧善懲悪のヒーロー性をうまく融合させた。

2010年代も2000年代と同じくアメコミヒーローが活躍する『アベンジャーズ』『ダークナイト ライジング』がトップ2を占めたほか、ヤングアダルトに受けた『ハンガー・ゲーム』シリーズや、アニメ『トイ・ストーリー3』『アナと雪の女王』『怪盗グルーのミニオン危機一発』が上位に入った

2010年代の3位と6位の『ハンガー・ゲーム』シリーズは、強いヒロインに女性が共感し支持した。これは、90年代に『タイタニック』、2000年代に『アバター』を生んだジェームズ・キャメロン監督が実証した、「強い女性キャラがヒットを生む法則」を受け継いでいて、社会で活躍する女性の憧れをうまく呼び込んだものだ。

60年代以降のファミリー向け映画の流れも、2010年代に顕著だ。懐かしのおもちゃが登場する4位『トイ・ストーリー3』、ディズニーが誇るプリンセス系の8位『アナと雪の女王』、王道ドタバタコメディーアニメの9位『怪盗グルーのミニオン危機一発』がある。

常に新しい機軸を打ち出しつつ、過去のヒット作のテイストも盛り込む。新しさと懐かしさをコラボさせた「ふる新しい」感じで共感の輪を拡大させる手法こそが、ハリウッドが元気でいられる秘訣なのだ。

(ライター 相良智弘)

[日経エンタテインメント! 2014年4月号の記事を基に再構成]