新しい映画の楽しみ方を提供する

なかでも特筆すべきは、ネットと接続して楽しむMovieNEXワールドの多彩さである。

例えば「モンスターズ・ユニバーシティ」では、製作総指揮を務めたジョン・ラセターの特別インタビューや限定メイキング、監督とプロデューサー来日記者会見Q&Aなど、ここでしか見られない映像が視聴できる。そのほか、オリジナルのデコメ(装飾メール)&絵文字のフリーダウンロードなどが用意され、情報も順次更新される予定だ。映画だけでなく、グッズや出版、音楽など多面的に事業を展開するディズニーならではのコンテンツといえるだろう。

(c)2014Disney

ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン マーケティング シニア マネージャーの小澤啓一氏は、「スマホやタブレットの普及に対応して、新しい映画の楽しみ方を提案したのがMovieNEXです。オンデマンドが日本より進んでいるアメリカからヒントをもらい、一方でパッケージへの愛着が強い日本の市場環境も考え、日本オリジナルの商品形態として発売をスタートしました」と話す。

パッケージ業界全体から見ると、これまでセルは各社からDVD単体、ブルーレイ単体、ブルーレイ+デジタルコピーなどの様々なタイプの商品がリリースされ、発売から数カ月後には廉価版として再発売されるケースも多かった。

それに対して、ディズニーでは今後、主要な新作映画についてはMovieNEXのみの商品を発売。本体価格も「4000円」に統一する。コンテンツの付加価値を高めて高単価で利益率を上げる戦略といえるが、ユーザーからすれば選択肢と廉価版がなくなるわけで、新パッケージがどこまで支持されるかは未知数だ。

この点について小澤氏は、「これまではディスクで作品を見れば終わりでしたが、購入者限定サイトによって、その先の映画体験が広がるのが今までとの違い。長期にわたって楽しめる、『進化するコンテンツ』という点に、価値を見いだしてもらえるはずです」と自信を見せる。

まだ同様のコンセプトで追随するメーカーは存在しないが、逆に言えば、信頼性の高いブランドに支えられた強力な作品群を抱え、グループ内に様々な事業部門を有するディズニーだからできた独自の新パッケージ戦略であり、パッケージ市場に投げかけたインパクトは大きい。

(ライター 相良智弘、安保有希子)

[日経エンタテインメント! 2014年1月号の記事を基に再構成]