パンケーキブームが追い風になるか
シナモンロールといえば、日本マクドナルドがパン生地にシナモンシュガーと甘いクリームチーズのアイシングをたっぷりかけたひと口サイズのシナモンブレッド「シナモンメルツ」を2008年に販売したが、売り上げが芳しくなく早々にメニューから姿を消した記憶がある。
「濃厚なシナモンの香りと強い甘さの組み合わせは日本人の嗜好に合いにくい」というパティシェの声もある。しかし、米国から上陸したパンケーキのブームが未だ衰えず、ますます盛り上がっているところをみると、味は本国そのままで勝負するシナボンが受け入れられる土壌は整っているのかもしれない。
メインの「シナボンクラシック」のほか、リッチなキャラメル風味のクリームチーズフロスティングとカリカリのピーカンナッツをトッピングした「キャラメルピーカンボン」、チョコペーストをしっとりとした生地で包み焼き上げた「チョコボン」の3種類で、それぞれミニサイズを用意。ほかにも持ち運びに便利なひと口サイズのシナモンロール「シナバイツ」、マカラシナモンシュガーとバニラで仕上げたスティックサイズのパイ「シナボンスティック」などがある。
食べてみるときめの詰まったむっちりとした生地は、日本の菓子パンよりも歯ごたえがある。この生地の製法は秘伝とのことで詳しい話は聞けなかったが、ベーグルに近いくらいの弾力。シナモンの濃厚な香りとかなり甘いクリームチーズフロスティングの組み合わせには、これくらい食べ応えのある生地のほうがバランスが良い。なるほど、たしかにこの甘さには濃いめのコーヒーがよく合う。しっかり咀嚼するので、ミニサイズでもかなり満足度が高い。
店頭では生地づくりから焼き上げまで行い、焼き上がりから30分以内の販売を目指し、いつでも温かい状態で提供する。30分を過ぎた商品は廃棄せず、テイクアウト用として提供。私もテイクアウトしたが、シナボンの良いところは時間が経ってもそれほど味が劣化しない点。いったん冷凍し、食べるときに電子レンジで解凍したらおいしく食べられた。米国では空港やショッピングモールに必ずある定番スイーツのシナボン。日本での新しい展開が楽しみだ。
(ライター 永浜敬子)
[日経トレンディネット2012年11月21日掲載]