名倉氏らが開発したエラスチンはマグロの心臓の動脈球が原料だが「豚の血管やカツオの心臓から作られたものが化粧品原料などとなっている」。身近な食品から摂取することは難しいので、サプリで補給したほうがよさそうだ。

肌のたるみに効く以外にも、コラーゲンをとり続けると爪や髪にも良いという研究が国内外で多数報告されている。「2カ月ほど続けてとると効果があるようだ」(小山研究員)。

また、赤松教授も「高齢者のもろくなった爪を丈夫にするのは薬では難しいが、コラーゲンを薦めたところ、一部の人で丈夫になった」と話す。

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コラーゲンだけではだめ、良質のたんぱく質も必要
 コラーゲンには、体内で作れない必須アミノ酸のトリプトファンが含まれず、たんぱく質として再合成されない。肌たるみには有効だが、美肌のためには魚や卵など食事でたんぱく質をとろう。

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【コラーゲンをとるとほかにもこんな良いことがある】

爪が丈夫になる
老化などによって爪の表面がもろくなった状態を改善する。1957年に海外で研究された(爪に問題のある患者82人が1日7gのゼラチンを3カ月摂取)。赤松教授も外来患者で効果を確認。

髪が太くなる
 髪のハリやコシに影響する毛髪の直径が増す。メカニズムは不明だが、女性を対象にした実験で、コラーゲンペプチドを8週間とると、直径が増加し、自覚症状で髪の「なめらかさ」が改善した。明治らの研究。

骨が丈夫になる
 骨密度を上げて骨を強くし、関節炎などの痛みを軽減する。骨の内部にある骨芽細胞はコラーゲンなどのたんぱく質を分泌して網目の構造を作り、強度を保っている。軟骨に比較的多いヒアルロン酸も増える。

傷が治りやすくなる
 傷を治す仕組みは、「線維芽細胞が炎症を起こした傷に集まり、コラーゲンの合成を活発にさせて傷を修復する」(佐藤教授)。コラーゲンをとっていると、線維芽細胞が増え、傷を治りやすくする。手荒れにもいい。

(日経ヘルス 大屋奈緒子・ライター 松岡真理)

[日経ヘルス2012年8月号の記事を基に再構成]