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卵子提供に体外受精、不妊治療はここまで進んだ

2014/5/21

日経トレンディネット

 医療技術の進歩のおかげで、不妊と診断されても出産のチャンスを持てるようになりました。では不妊と診断された場合、実際の治療はどのように進むのでしょうか? 米国ボストン在住の医学博士 大西睦子氏と、名古屋大学産婦人科の大須賀智子先生が不妊治療の現状と課題を語り合いました。

■「不妊治療」の第一歩は自宅でできる記録

大西睦子(以下、大西): 検査から治療まで、不妊治療では具体的にどのようなことをするのでしょう。

大須賀智子先生(以下、大須賀): 不妊症は、原因に応じた治療をする必要がありますから、その原因を調べる検査を最初に行います。自宅で記録できる基礎体温の記録も大切な検査の一つです。

 女性の場合は、診察室で内診や経腟超音波検査により子宮・卵巣の状況をチェックします。採血して、ホルモン値なども検査します。これは、必要に応じて何回か繰り返すことが多いです。また卵管の通りや子宮内の形状を見るため、子宮卵管造影といった、X線撮影検査もあります。場合によっては、子宮鏡検査、腹腔鏡検査、MRI検査などが加わることもあります。

 一方、男性の基本的な検査は、精液検査です。ほかにも必要に応じて、泌尿器科での診察、採血などを実施します。

(写真:khunaspix)

■約20年で50万人ほどの赤ちゃんが、体外受精で誕生した米国

大西: 米生殖医学会(American Society for Reproductive Medicine:ASRM)によると、米国では不妊治療を受ける人の85~90%が、薬や外科的処置などを受けているといいます。この治療に含まれるのが、カウンセリングから内診・基礎体温の測定・精液検査、性交のタイミング指導、薬剤や注射による排卵促進、人工授精までといいます[注1]

 こうした「一般不妊治療」に対し、「高度不妊治療」、つまり体外受精に取り組む人もいます。

 体外受精は、1978年に英国で世界初の体外受精技術による子どもが誕生し、米国では1981年に導入されました。以降、米国内のすべての不妊治療の5%未満ほどが体外受精となり、1985年から2006年末までで、約50万人もの赤ちゃんが、体外受精など生殖補助医療によって生まれています。

 体外受精は、例えば、女性の卵管が閉塞している場合や男性の精子の数が少ないなどの理由のため不妊のカップルに行われる治療です。まず女性の卵子を卵巣から取り出し、数千(米生殖医学会参照。ただし日本では10万~15万とされる)の健常な精子と培養皿に置く。培養皿のなかで精子の1つが卵子にたどり着き受精すると、その約40時間後に卵子が細胞分裂を始めます。その後、受精卵になっていることを確認して、受精卵を子宮に戻します。この体外受精には高度な訓練を受けた専門家をはじめ、実験室や医療器具を必要とするため、米国での1サイクル(1回の治療)の平均費用は、1万2400ドル(約120万円)と高価です。

 しかも、成功するまで、このサイクルを繰り返す必要があるわけです。

[注1]参考文献:American Society for Reproductive Medicine「Frequently Asked Questions About Infertility」

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