ただ1人の誰か求め 午前3時にメールする日々
30代女子リアル婚活物語(5)
日本の結婚状況について、少し勉強しておこう。
日本の未婚率は、上昇をし続けていて、2010年の国勢調査では、30代前半男性たちの未婚率は46.5%。女性は33.3%。このまま進むと、独身者の1~2割が一生結婚しないと推測される(注1)。
また、国立社会保障・人口問題研究所が2010年11月に発表した「出生動向基本調査」、いわゆる「独身者調査」では、18歳~34歳の未婚者のうちで、交際相手がいないのは、男性で61.4%。女性で49.5%。つまり、独身者のおよそ半数に彼氏彼女がいないのだ。これは、調査を開始して以来、最高の数字だという(注2)。
[注2] 調査は原則5年ごとにおこなわれ、14回目の今回は、2010年6月に実施。男女約7000人の回答から分析している。
実際、私が女性誌などで結婚や婚活について取材していても、「恋をしていない」というアラサー女性が非常に増えているのが実感だ。「いったいどこに行けば出会えるの?」というのが、彼女たちの合言葉のようになっている。
こうしたなか、「何もしなければ、結婚なんてできないのだから、積極的に活動せよ」ということで生まれた概念が、『婚活』だ。具体的には、合コンや紹介といった気軽に始められそうなものから、ネットで探すネット婚活や結婚相談所への登録、お見合いパーティー、料理合コン、街コン、ゴルフ合コンなどがある。
しかし、こうした活動ですぐに結婚が決まることは少なく、婚活自体に疲れを感じる人たちも増えている。
午前3時の婚活難民
婚活を始めて1年で、聡美さんはおよそ40人の男性たちとメールして、そのうちの10人とデートをした。そして、つきあったのは、2人。
その2人とも別れた今、また新しい出会いを求めて、彼女は3つのサイトに登録をし直した。
そんな状況の彼女にとって、婚活とはなんなのだろうか?
「そうですねー、私にとって婚活は、安定を得る手段でしょうか。私、ちゃんと結婚をして、子供を産みたいんですよ。子供について考え始めると、こんなことをしている場合じゃないと焦ります。……ときめきについてですか? うーん、ときめきはもういいんです。いえ、ときめきがあるのなら、それに越したことはないですが、今は結婚を念頭においているせいか、誰に会っても条件を先に見て、ときめかなくなりました。まあ、寂しいといえば寂しいですけど、私にはもう、変な感情に振り回されて、無駄にする時間はないですから……」
後日、私は彼女のブログを偶然、目にする機会があった。
そこには、こう書いてあった。
「悶々とした気持ちが発酵して、熟成され過ぎている日々。この年になって『まだいうか』と、もはや笑って聞いてもらえないことは百も承知なのだけど、でも、やっぱりいわせてもらいたい。早く未来のだんな様と出会いたい! 本当に、それにつきる!」
……そう。
ただひとりだけでいい。ごく普通の人でいい。
自分と価値観が同じで、同じことに泣いたり、笑ったり、怒ったりできる人。そんなひとりを探して、彼女は今日も深夜にメールを送信する。
NHKディレクターを経て文筆業に。500人を取材して書いた『必ず結婚できる45のルール』(マガジンハウス)や、崖っぷち婚活隊と全国の寺社を巡ったコミックエッセイ『婚活の神様!』(幻冬舎コミックス)など恋や結婚に関する著書多数。近著に『婚活難民』(光文社)
[nikkei WOMAN Online 2013年3月1日掲載]
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