■保険の本来の目的は「緊急事態への備え」
これから「どんな保険に入るべきか」を考えていくには、そもそも「どうして保険に入る必要があるのか」を知っておかなくてはなりません。
「例えば自動車で死亡事故を起こしてしまって、数億円の損害賠償を求められたら、自力ではとても支払えないでしょう。このような『いざ起きてしまったら貯蓄ではまかなえないリスク』をカバーし、緊急事態に備えるのが保険の本来の目的です」(ファイナンシャルプランナーの深田晶恵さん)。
保険とは、「人生で起きてほしくないことが起きてしまったとき」に備え、その事態への対処のためのお金を受け取ることを目的に加入するものだといえます。こうした本来の目的に立ち返ってみて分かるのは、「起きてしまったときの経済的なダメージが大きいリスク」ほど、保険でしっかり備えることが必要だということ。逆に言えば、貯蓄などで対処できるリスクであれば、保険に加入する必要性は低いと考えることができます。
「ただし保険には『小さなリスクを上手にコントロールする』という目的もあるんです。例えば医療保険は入院に備えるためのものですが、入院は自動車事故のリスクと比べれば経済的ダメージが小さく、貯蓄で費用をまかなえるという人もたくさんいるでしょう。でも、『転職のために会社を辞めて収入が途絶えている』『住宅ローンの頭金を支払って貯蓄が大きく減ってしまった』といったときに入院することになったら、費用を工面するのに困ってしまうこともあるかもしれませんよね。お金をきちんと貯めている人でも、人生では『今、ちょっと余裕がないな』という時期があるもの。こうした“貯蓄残高の波(上図)を無理なく越えていくために、保険を上手に利用することも大切です」
■経済的リスクの大きさで重要度を比較
保険加入の目的を「経済的リスクに備えるため」と明確に意識すると、個々の保険商品のうち、どれが本当に必要なのかが見えてきます。