音楽で国のイメージを向上させて、韓国製品の購買につなげる

表1 韓国・文化体育観光部による2006~2011年のコンテンツ産業の海外輸出額の年平均成長率(2012年発表)。K-POPブームで音楽が伸びた。

韓国エンターテインメントはなぜ、ここまで貪欲に海外を目指すのか。1つの理由は、韓国の国内市場が小さいことだ。韓国の人口は日本の半分に満たない。米国に次ぐ大きなコンテンツ市場である日本への進出は、右肩上がりの成長を続けて、“食べていく”ために欠かせない当然の選択だ。

日本で韓国のコンテンツ振興を手がける政府系機関、韓国コンテンツ振興院・日本事務所の金泳徳(キム・ヨンドク)所長によると、2010年の統計で、韓国から輸出されるコンテンツの約54%が日本向け。ほかは台湾が約13.2%、中国が約8.8%、ほとんどがアジア諸国に集中している。

表2 最も輸出額が多いのはネットゲーム。放送には主にドラマが含まれる。韓国・文化体育観光部の発表数値(2011年は予測値)。

ではその実数というと、韓国の政府機関、文化体育観光部の発表(2012年2月)によると、韓国の2011年の貿易輸出の総額約5565億米ドルのうち、コンテンツ産業が占める割合は、わずか41.6億米ドル。過去5年以上、音楽、ドラマ(放送)の輸出額は右肩上がりで伸びているものの(表2)、スマートフォンや薄型テレビなど、電子機器の輸出額に比べれば、決して大きなビジネスではない。

「しかし、音楽やドラマが海外で認知度を高めることが、韓国のイメージを上げ、それが後に、韓国メーカーの製品の購買や観光客を増やす。その間接的効果は非常に大きいと、韓国政府は見ている」(金泳徳所長)。韓国輸出入銀行海外経済研究所の試算によると、K-POPの輸出が100米ドル増えると、韓国製の電子製品やIT機器の輸出は平均395米ドル増加するという。

人気者のKARAは2012年、海外での活動が評価され、「韓国観光の星」の特別賞(功労賞)に選出。政府から表彰された。これを見ても、韓国政府がアーティストの力で世界に韓国ブランドを広める戦略に重きを置いていることが分かる。K-POPアーティストは、海外で成功すれば、金銭的に豊かになるだけでなく、国のイメージアップに貢献した立役者として、名誉ある地位を得ることもできる。“高収入と名誉”の両輪が、韓流スターの高いモチベーションを維持する原動力というわけだ。

ネットが最大の武器に

韓流スターが、自身と母国を世界に売り込むうえで、最強のツールになったのがインターネットだった。ドラマのスターが今、どこで何をしているのか、日本にいつ来るのかといったPR情報を、俳優自身やマネジャーは海外のファンに対し、ツイッターでのつぶやきなどで、簡単に発信できる。

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この10年でエンターテインメント産業の人材も育った