2013/12/20

かつてのスウェーデンは男性優位の考え方が強かった

スウェーデンが女性と子どもに優しい社会を構築することができた最大の理由は、この30年間で、政治界に女性の存在を増やせたことだと考えています。

今のスウェーデンの若い女性たちは、女性の権利や子育て支援を、ずっと以前からあった当然のものと思っていますが、そうではありません。女性がおとなしく待っていて与えられたものではありません。

かつてのスウェーデンは父長制度の国で、男性優位の考え方が強かったからです。そのうえ、狩猟の文化があるせいか、日本に比べ、非常にマッチョな男性像があります。今の女性の地位は、現在60歳以上の世代の女性たちが30年かけて闘って勝ち取った権利なのです。

クオータ制を採用し女性議員の数が倍増 韓国も同制度を導入

スウェーデンで女性議員が45%と多いのは、女性が頑張って、強く要求して導入したクオータ制のお陰でした。

スウェーデン最大の政党が立候補を立てる時、必ず半数は女性が当選する「クオータ制」を導入したことから、ほかの政党もクオータ制を続々と導入したのです。70年代20%台だった女性議員が、クオータ制を導入した1994年に40%台に上がりました。そして、大臣も半分は女性にすることも実現できました。

韓国に女性の大統領が誕生したことはすばらしいと思いますが、2000年に比例代表の候補の30%を女性にするというクオータ制度を導入したことはもっとすばらしいと思います。制度に問題があってあまり成果が出ていないともいわれていますが、2000年に女性議員が5.9%だったところを2004年に13%、2012年に15.7%と伸ばしています。

日本は、女性の政治参加が少ないことを長らく問題にしながらも効果的な政策が何も導入できていません。韓国のように、トライする勇気がほしいと思います。

いつまでも男性だけに政治を任せないで

現在の自民党政権では、閣僚のうち2人しか女性がいません。日本の政治を、いつまでも男性だけに任せていてはいけないと思います。

国民の声を代表するためには、国民の50%は女性なのですから、議員も50%女性になることを目指すのが当然だと思います。そうすれば、国民の意志を反映した政治になるでしょう。女性の力の活用の本格化は、待っているだけではいつになっても実現しません。

日本のみなさん、あきらめないで頑張ってください!

高見幸子
 1974年よりスウェーデン在住。15年間、ストックホルムの基礎学校と高校で日本語教師を務める。1995年から、スウェーデンへの環境視察のコーデイネートや執筆活動等を通じてスウェーデンの環境保護などを日本に紹介。2000年から国際NGOナチュラルステップジャパンの代表。現在、顧問として企業、自治体の環境ファシリテーターとして活動中。共著『スウェーデンは放射能汚染からどう社会を守っているのか』(合同出版)など

[ecomomサイト2012年8月7日付記事を基に再構成]

[参考] 家族と自然にやさしい暮らしがテーマの季刊誌『ecomom(エコマム)』。2013年冬号では、「毎日の家事を『ラク・時短・楽しく』解決」「お正月を楽しむ わが家のしつらえ」「もっと知りたい!スマートハウスQ&A」などを特集。公式サイトで登録すると、無料で雑誌が届く。