もう一つの流れが「男性読者の取り込み」。「ジャンプ」は伝統的に女子にウケる作品が多い。『聖闘士聖矢』『キャプテン翼』などに端を発し、現在人気の『黒子のバスケ』や、『ジャンプSQ(スクエア).』に移った今も圧倒的人気の『テニスの王子様』などにその系譜は受け継がれている。「多彩なイケメン(でも色恋はない)」「男同士の真っすぐな友情」などをのぞき見したい女子ファンが、実は「ジャンプ」を支えている面がある。

雑誌の原点を取り戻せるか

一時期は『家庭教師ヒットマンREBORN!』『D-Grayman』など、女性人気の高い作品の比重が高まっていた。女性読者の多くは単行本派のため、確実に単行本は売れるが、「週刊誌で少年を楽しませる」という「ジャンプ」の原点を強化するには、男性読者の比率を再び高める必要があった。現在、ラブコメの『ニセコイ』、食欲+お色気の融合『食戟(しょくげき)のソーマ』、かわいい女性警察官がヒロインの『新米婦警キルコさん』など、男子人気が出そうな作品がどんどん投入されている。背景には、そんな事情もあるのではないだろうか。

主な「週刊少年ジャンプ」連載作品のマトリクス

強さのインフレを伴う王道バトルの定型パターンから脱却しつつ、読者バランスを本来の「少年向け」に戻していく。新時代を担う看板作品たちは、新たな「王道」を切り開けるだろうか。

(ライター 芝田隆広・平山ゆりの)

[日経エンタテインメント! 2013年5月号の記事を基に再構成]