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働き方・学び方
集まれ!ほっとエイジ

2012/8/17

集まれ!ほっとエイジ

薬飲みたくないなら医師に断るべき

――病気になる前に自分の体をケアしていかなければならないわけですね。質の高い健康寿命を維持するためにはどうすればいいのですか。

川嶋 今までは、医師頼みでよかったのだと思います。50歳くらいで死ぬのであれば、医師はいろいろ手を打てるのですが、加齢にともない、医師では手に負えない問題が出てきました。高齢者は足腰が不自由になるところから始まり、徐々に物が食べられなくなってきます。認知症になったりもします。そうなると、通常の医療では、手も足もでないのです。

足腰を丈夫にしておくということは、本人の努力次第で、医師に頼るというわけにはいかないのです。

医師は命を継続させることを習ってきています。心臓を動かす、呼吸を維持するといった命の火を消さないようにする措置は専門家としてやるのですが、高齢者が寝たきりになったり、物が食べられなくなってしまったりしたときに、それをもとに戻すような医療を学んできたわけではないのです。

――そうしたことも医師がなんとかしてくれると、みな思っているかもしれません。

川嶋 医師に頼っていてもだめなんです。でも現実は、医師に丸投げする人がほとんどですね。

僕のところにくる患者さんが高血圧の薬を「飲み始めたら一生飲み続けなければだめなんですか」と質問してきたときに、僕はこう言いました。

「薬を飲むか飲まないかを決めるのは、あなた自身ですよ」。

我々医師は、働き盛りの人が来て、その人に脳卒中や心筋梗塞のリスクがあるときは「薬を飲まなければいけない」と医師としての価値観を押し付けますが、最終的に決めるのはあくまでも患者さんなのです。

患者の中には医師の勧める薬を断りきれずに、飲まないで捨ててしまっているような人もよく見受けられます。それこそ医療費の無駄遣いになりますから、薬を飲みたくないのならば、はっきりと薬を断るべきだと思います。

100歳以上の寝たきり 米国35%、日本65%

――医師になんでも頼るというのは、日本の場合、医療制度が充実していて、気軽に医師にかかれるので、いくらかかるかなどはほとんど考慮しないという側面があるのではないでしょうか。

川嶋 アメリカでは100歳以上の寝たきりの人は35%なのに、日本は65%なんです。日本は気軽に医師にかかれるので丸投げする。アメリカでは医師にかかるとお金がかかりますから、かかってはいけないという意識が高いのでしょうね。

――社会保障と税の一体改革の議論で、増税するんだから、行政を効率化しようという話は出てきても、増税の原因となっている医療費を減らしましょうという話はまったく聞こえてきませんでした。国民は、医療費の無駄を解消することが自分の問題であるという意識が薄いようです。

川嶋 薬を作り、消費するということは経済の面ではいいことなのでしょう。薬を使わないように使わないようにしていくと、国の財政にとってはプラスになるのでしょうが、薬の生産性が落ちて経済成長にはマイナスとなるという可能性がある。だから、そういう議論が出てこないのでしょう。

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