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幸せに死にたいなら、医者頼みやめよう 東京女子医科大学准教授 川嶋朗氏

2012/8/17

 膨れ上がる社会保障費。その中でも大きな割合を占めるのが医療費だ。東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長の川嶋朗氏は、「日本人は、自分の死や健康を自分で管理しようとせずに医師に丸投げしており、それが医療費膨張の最大の原因になっている」と指摘する。そして、「個々人が死をしっかり意識し、延命治療の要不要を自分で決めることができるようになれば、医療費の無駄が削減でき、個々人の生活の質も高められる」と主張する。

■日本人の平均、最後の7~9年は介護される生活

――川嶋さんは今年3月、『医師が教える幸福な死に方』という本を出されました。なぜ、「幸福な死に方」というテーマを選ばれたのですか。

 かわしま・あきら 東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長・准教授、医学博士。1957年、東京都生まれ。北海道大学医学部卒業後、東京女子医科大学大学院医学研究科、ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院などを経て現職。東洋医学に精通し、さまざまな代替医療を取り入れた統合医療を手掛けている。西洋医学では、腎臓病、膠原病、高血圧などが専門。著書に「心もからだも『冷え』が万病のもと」(集英社新書)、「川嶋流 がんにならない食べ方」(小学館101新書)、「医師が教える幸福な死に方」(角川SSC新書)などがある。

川嶋 男女の寿命が伸び、長寿社会になっています。長生きする以上、元気でありたいというのがみなさん、共通の願いだと思うんですね。ところが、ただ「生きたい」というだけで、なかなか死について考えなくなってしまっていて、そのために弊害も出ている。死を考えると、逆に死ぬまで元気でありたいとも考える。元気で長寿であることが重要で、それを提案したいと思い、この本を書きました。

――日本人は必ずしも「健康で、長寿」というわけではないのですね。

川嶋 世界保健機関(WHO)が発表した「世界保健統計2012」では、日本人の平均寿命は83歳で193カ国中1位でした。

 しかし、一方で、「健康寿命」というものがあります。介護を必要としないで生きていくことができる寿命ですね。平均寿命と、この健康寿命との差が日本では7~9年あると言われています。つまり、7~9年は介護を受けながら生きていくのです。医療や介護によって長寿が維持されているという側面もあるわけですね。

■一生で使う医療費、半分は70歳超えてから

――医療費は年々増加しています。

川嶋 国家予算の中で、実は最も大きいのが医療費です。2010年のデータですが、国民医療費は37.5兆円にも上ります。その年の税収が約41兆円。これを一般家庭に置き換えてみると、お給料のほとんどを病院で使っているという計算になります。

 我々が一生の間で使う医療費の平均が2300万円と言われているのですが、その半分は70歳を超えてから使っているというデータもあります。高齢者が医療費の大半を使っているので、今後高齢化が進むと25年には医療費が52兆円になってしまうと厚生労働省は試算しています。

 国も医療費を減らしていきたいという思いがあるのでしょうが、単純に医療費を減らそうとすると医療の質が落ちます。質を落とすようなことはしたくない。では、どうするか。

 医療費を減らすためには、使わないことが一番です。使わないということは病気にならないということです。医療費を減らすということは、医師にとっては商売にならないことを意味するのかもしれませんが、それを目指さないと日本という国を壊すことになってしまう。

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