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ランチで知る世界の素顔 学びと楽しさを両立

女子力起業(8)

編集委員 石鍋仁美

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NIKKEI STYLE

いろいろな国の料理を食べながら、その国の人たちと交流したり、生きた文化やビジネス事情、社会問題を学んだり。20代の女性たちが始めた有料イベント「ランチトリップ」の参加者が年を追って拡大している。地球にはさまざまな人が住み、それぞれの文化を持って暮らしている。そう肌で理解する人が増えれば、世界はもっと良くなるだろう。そんな願いが出発点にある。

通常の催しは、こんな具合だ。場所は日本国内のレストランや大使館など。昼の2時間半をその国への旅に見立て、運営者を「クルー」、参加者を「パッセンジャー」、講師役を「ガイド」と呼ぶ。

企画・運営する松沢亜美さん(代表)、畠田那穂さん、長谷川恭子さんは、航空会社の客室乗務員を思わせる服に身を包み、会を仕切る。冒頭のあいさつも添乗員風で、会場が和む。旅先で、一期一会のふれあいを楽しみましょう。まじめだけど、堅苦しくはない。そんなコンセプトが、参加者にも自然に伝わっていく。

居ながらにして"世界"を体験

まず「ガイド」が母国や自分の詳しい国について語り、参加者同士が問題を共有し、解決策などを話し合うワークショップへと続く。その間においしい食事が入る。日本に留学中の学生やその国に住む日本人を講師役に招くなど、外国語ができない人でも参加できるよう工夫している点も魅力の一つだ。

記者が参加した「旅」は、都内のカンボジア料理店で開かれた12月8日の回。カンボジアで児童買春をなくすために活動するNPO法人「かものはしプロジェクト」の共同代表、村田早耶香さんがガイドを務めた。少女たちの現状、かものはしが取り組む活動内容が紹介され、現在直面する課題の解決策をグループごとに話し合う。

もともとカンボジアを旅したことのある人も目立つ。「旅先」気分が生む気安さも手伝い、初対面同士でも率直なアイデア交換が弾む。1人でも手持ちぶさたにならず、通り一遍の名所案内ではない外国の現状を知ることができ、しかも課題があることで会話がスムーズに成り立ち、共通の関心を持つ知り合いが増えていく。

魅力を感じてリピーターになる人も多い。さらに、最初は参加者だった人が、企画を立てて持ち込んだり、「ガイド」候補を紹介したり、自分自身がガイドになったり。そうして会を広げる側に回った例も少なくないという。

カンボジアの会は「第55便」、すなわち55回目だった。これまでの参加者の中心は20代から30代。「食・旅・学び」が好きな人たちが集まる。「ガイド」が女性だったためか、今回の参加者は圧倒的に女性が多かった。

シリアの回では、トルコに避難している学生がインターネット経由のテレビ電話で話をした。大手企業の社内企画として開いたこともあった。東京以外の街での開催もどんどん増えている。場所も中身も半ば自然に広がるのは、土台となった発想に魅力があるからだろう。

一緒に食べればみんな友達

シリアスな講演会では、シリアスな面しか伝わらない。参加者も広がりにくい。1つの国の持ついろいろな面を伝えたい。そう思ったとき、食事は「文化の多様性」を肌で実感でき、なおかつ楽しい体験をシェアできるツールだ。「人を知りたい、親しくなりたいと思ったとき、一緒に食事に行きますよね。国も同じだと思うんです」と松沢さんは言う。

3人がランチトリップを始めたのは2008年。発端は松沢さんが早稲田大学在学中に体験した米国留学だという。もともと食べることと旅が好き。留学中も日本を知らない友人を集め手巻きずしパーティーを開くなど、楽しい時間を過ごした。そうした中、近所で1つの殺人事件が起きる。

ターバンを巻いた男性が「米国の敵であるイスラム教徒」とみられ、殺されたのだ。異文化を憎悪する人々がいる。しかも、そもそもこの男性は「シーク教徒」であり、イスラム教徒ではなかった。無知による誤解、偏見、そして偏狭さが重なったところで、1つの命が失われた。

「犯人には『知る機会』がなかったのでは」と松沢さん。良い面も悪い面も含め、ある国や地域の「意外な面」を知る機会をつくりたい。おいしいものを食べながらであれば、伝える側も聞く側も、楽しいだろう。学生時代からの友人である畠田さん、長谷川さんを誘い、ランチトリップが始まった。

遠からず日本にも外国人がもっと増える。無知、誤解、憎悪による犯罪が起きてほしくない。そのためにはまず「相手の国のことを知ろうとする」こと。その手段が、例えば旅行だ。現地の人とふれあい、生活を見て、知らない一面を知り、固定概念が覆る。現地の人の目線でその国や世界を見る人が増えれば、憎悪による犯罪のない世の中が近づく。

そうした体験を、実際の旅行だけではなく、日本にいながら可能にしたい。それがランチトリップだ。

今はそれぞれ本業を持ちつつランチトリップを運営している。

松沢さんは大手メーカーでの海外工場のコンサルティング業務、フランス留学を経て、現在はフリーのライターだ。

畠田さんは慶応大学総合政策学部を卒業後、大手日系システム会社でシステムエンジニア(SE)としてインドに2カ月滞在したことがある。高校時代には英国にも留学した。現在は日本の食を扱うインターネットサイトの運営と商品企画を仕事とする。

海外に日本を"出前"したい

長谷川さんは大妻女子大を卒業後、現在は都内で保育士として勤務中。ランチトリップの活動をするうちに「知らない世界をもっと知りたい」と感じ、10年から2年間、青年海外協力隊員として西アフリカのブルキナファソに赴くという経験もした。来年には幼児教育の場にもランチトリップを取り入れる予定だ。

3人が将来やってみたいのは「海外での『日本便』開催」と「大学や高校、さらには小・中学校での開催」だという。

外国の街で、その国の人たちが、日本の料理を食べながら、日本の素顔について知る。若者が渡航経験者の体験を聞きながら、食を通じて海外に親しむ。そうした機会を設けたいと考える。本格的な組織も立ち上げるつもりだ。ランチを通じ、より良い世界をつくりたい。そう願う。

 大勢の人に威張りたい。ライバルをつぶしたい。全国制覇、世界制覇をしたい……。そんな従来の起業家の原動力とは、全く違う志で起業やビジネスに取り組む女性たちが目立ちます。仕事を楽しみ、自分や周囲の悩みを解決するために起業し、共感や感謝の声を「次」への元気につなげる。そんな新世代の女子力起業家の生き方を紹介していきます。

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