農家さん、よそ者は嫌ですか(加藤百合子氏の経営者ブログ)

2014/2/17

1月下旬に岩手県盛岡市で農業関係者向けの講演をしました。通常は、聴講者に今後の農業経営のあり方や販売戦略を考える材料を提供するのが「講演」なのですが、今回はフリーディスカッションで聞いた話がショッキングで、私のほうが考えさせられました。

まず、県庁の方が提示した人口動向のデータに驚きました。岩手県の今の人口は130万人弱なのですが、都市部への流出が止まらず、近い将来、80万人台になってしまう可能性があるそうです。

加藤百合子(かとう・ゆりこ)1974年千葉県生まれ。東大農学部で農業システムの研究に携わり、英国クランフィールド大学で修士号取得。その後、米航空宇宙局(NASA)のプロジェクトに参画。2000年に帰国しキヤノン入社。2001年、結婚を機に退社し静岡に移住。産業用機械の研究開発に7年ほど従事したものの農業の社会性の高さに気付き、2009年エムスクエア・ラボを設立。2012年青果流通を変える「ベジプロバイダー事業」で日本政策投資銀行第1回女性新ビジネスプランコンペティション大賞受賞。

80万人といったら私の住む静岡県で言えば浜松市ぐらいの規模。この人数で北海道に次ぐ面積をカバーすることになるのですから、行政サービスを筆頭に従来通りの生活基盤が維持できるのか不安になるのはもっともです。農家の方の意見は「人がこれ以上いなくなってしまったら、農業が成り立たないばかりか地域が保てない」との悲痛なものでした。

人を呼び込む方法として「地産来消」の話や消費者と産地をつなぐ各地の取り組み事例を紹介したのですが、ある農家の方から思わぬ発言が……。「よそ者には来てほしくない。地域を荒らされたくない」とのことでした。

はっきり言われたのには驚きましたが、実はこの意見は、岩手県に限らず日本の多くの農家の本音なんだろうと思います。その土地に愛着持って、地域みんなで支え合って、これまでやってきたのですから「顔見知りなら気にしないが、知らないヤツが農道に泥を落としていくのは我慢ならない」という感情は理解できます。

人がいなくなるのは困る。都会に出ていった息子や娘、地元出身者が戻ってきてくれたらうれしいが期待薄だ。積極的によそ者を受け入れないと現状維持もおぼつかない。頭では分かっているが、気持ちがついていかない……。どうしたらいいのでしょうか。